知人と話していて、彼女がやたらと恐竜に詳しいことを知りました。
セクシャルバイアスと言われればそれまでですが、ごく一般的な主婦がアロサウルスとティラノザウルスの生きていた時代が違うことを知っているというのが面白くて理由を尋ねたところ子供の頃に持っていた恐竜図鑑を暗記するほど繰り返し読んでいたそうです。
さらに聞けば、なにか「失われたもの」に惹かれるそうで宮城県美術館で昨年開催されていた「ポンペイ展」も見たそうです。
そこで久しぶりに思い出したのが、「古代への情熱」。シュリーマン自伝です。
とっくに”自炊”してしまった蔵書を調べてみたら、岩波書店版(村田 数之亮訳)、昭和29年発行の初版でした。
といっても私が手に入れたのは神田の古書店だったので手に入れた当初も相当日に焼けていました。私がシュリーマンについて知ったのは遅くて高校生の時でした。
SF作家の半村良が『石の血脈』で泉鏡花賞を取ったというので、さっそく読んでみたところプロットに登場して興味をもち原著を読んでみようと手に入れたものです。
今回、上記の知り合いに薦めてみようと手に入れたのは、角川ソフィア文庫版(池内 紀訳)の物で、岩波版に比べると表記も新しく途中の訳者によるコラムと解説も楽しく読めました。
実に30年ぶりに読んだことになります。
ただし、周藤芳幸氏による「文庫版」解説は、シュリーマン自伝の「真実」に関する補足という感じで夢をもちたい人々には興ざめかもしれないと思います。
解説の言っていることは知っておかねばならない事実ですし、どのようなハッピーなエピソードに対しても冷笑的な態度で臨むネット民の嗜好には合うかもしれません。
ちなみに『石の血脈』においてもシュリーマンは盗掘家として扱われていました。
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