2024年8月30日金曜日

古代への情熱

知人と話していて、彼女がやたらと恐竜に詳しいことを知りました。
セクシャルバイアスと言われればそれまでですが、ごく一般的な主婦がアロサウルスとティラノザウルスの生きていた時代が違うことを知っているというのが面白くて理由を尋ねたところ子供の頃に持っていた恐竜図鑑を暗記するほど繰り返し読んでいたそうです。

さらに聞けば、なにか「失われたもの」に惹かれるそうで宮城県美術館で昨年開催されていた「ポンペイ展」も見たそうです。

そこで久しぶりに思い出したのが、「古代への情熱」。シュリーマン自伝です。
とっくに”自炊”してしまった蔵書を調べてみたら、岩波書店版(村田 数之亮訳)、昭和29年発行の初版でした。

といってもあたしが手に入れたのは神田の古書店だったので手に入れた当初も相当日に焼けていました。あたしがシュリーマンについて知ったのは遅くて高校生の時でした。
SF作家の半村良が『石の血脈』で泉鏡花賞を取ったというので、さっそく読んでみたところプロットに登場して興味をもち原著を読んでみようと手に入れたものです。

今回、上記の知り合いに薦めてみようと手に入れたのは、角川ソフィア文庫版(池内 紀訳)の物で、岩波版に比べると表記も新しく途中の訳者によるコラムと解説も楽しく読めました。
実に30年ぶりに読んだことになります。

ただし、周藤芳幸氏による「文庫版」解説は、シュリーマン自伝の「真実」に関する補足という感じで夢をもちたい人々には興ざめかもしれないと思います。

解説の言っていることは知っておかねばならない事実ですし、どのようなハッピーなエピソードに対しても冷笑的な態度で臨むネット民の嗜好には合うかもしれません。
ちなみに『石の血脈』においてもシュリーマンは盗掘家として扱われていました。

2024年8月20日火曜日

コメントすいません

 コンテンツ整理にかまけていてInspirationについての記事にコメントをいくつかいただいていたのに気が付かずにすいませんでした。ちょっとだけ追記をしました。

2024年5月27日月曜日

インターネットは、どんな洞窟?

大分前、2010年のことです。職場内を歩いていたら久々に、K君に会いました。
K君は、あたしの元スタッフでネットのことについてはエキスパートといってもよい人物です。

あたし「なんか、最近、あまりつぶやいてないね?」
とすれ違いざまに声をかけたところ、その日の午後、こんなことをつぶやいてました。
(当時は、あたしもtwitterに目を通していたのです)

(K君のつぶやき) 最近つぶやいていないね、と指摘を受けた。一日に処理できる情報量にはやはり限りがあり、ツイッターやニュースなどを追っていると、インプットが過剰で、脳が疲れてしまう気がした

来たねと思いました。この人、若かったんですよ。

こんなもの(twitterやらfacebookやら、ゲームやら)やってたら、いずれBurn Outするにきまってんだから。
同じ日の夕方に、今度は、つきあいのあるS社長が職場に来ていました。

ひとしきり宇宙人の話などした後、SNS関連の話題になったのですが、奇しくも前述のKさんと同じく、

なんだか、疲れちゃって。リアルな世界との仕事が増えたし(投稿するの)ここんところやめてます。

ときた。S社長は、K君より更に若いのです。

どの店にチェックインしたとか、誰かが食べた西洋料理やワインの写真がアップされている姿を見ているとクリフォード・ストールの名著「インターネットはからっぽの洞窟」がついつい想起されちゃいます。
もしも紙の本がなくなるとすると、家の子供はこっそり大人の本を書棚から出して読めなくなっちゃうし。

こんなときに、ぼ~~~っとテレビを見るとホっとしますな。やはり。

(初出: 2010-12-08 14:36:39)

この時点から10年が経ちました。

「アラブの春」があった当時は、ちょうどSNSとマスメディアの転換点でした。

この時点まで、かろうじてネットの情報は、マスメディアが報じない真実を伝えている状況でしたが、2010年を境にSNS情報はまったくアテにならなくなっていきます。

マスメディアの情報は偏りや間違い、ニュースバリューによる選別や勝手に忖度して報じたり報じない場合はあるかもしれませんが、SNSのように意図的に虚偽や悪意ある情報が大量に流通することはありません。

SNSやAIのせいであらゆる情報が泥のように濁ってしまいました。

2024年5月15日水曜日

カルロス・カスタネダ関連の投稿

本ブログで大きな割合を占めていた「カルロス・カスタネダ」関係の記事を棚卸しをしまして別のコンテンツに引越しをしました。
タイトルは『gait of power』(「力の足どり」)としました。

今回は、知人のサーバーをお借りしてシステムをWordPressにしました。
ほぼ元の記事のままですが、誤植・リンク切れなど体裁を直してあります。
また、元原稿では揶揄した調子の文体が多すぎたなと思いましたので少しトーンを抑えて書き直しました。
元原稿にはまだまだ推敲や校正の足りない部分があるので新サイトにおいても少しずつ見直しを進めています。

国内では、2000年代に入ってから従来、ニューエイジ、精神世界などと呼ばれていたものが「スピリチュアル系」という呼び名が一般的になり動画コンテンツを中心に「スピ系」と呼ばれるなど、より多くの「一般の人々」に浸透しています。

そしてコロナ禍に入ると、「スピ系」コンテンツに傾倒していた人たちは、不安にかられて簡単な答えが得られる陰謀デマ系の世界に逃げこんでいきました。
あたしも、長年の親友がコロナ禍でネット情報漬けになり当時活発になったカルト系の政治活動に陥った結果、断腸の思いで交友を断つことにしました。

アップした多数のカスタネダ関係の記事の中でも、カスタネダを妄信して活動に加わり、カルトに救いと居場所を求めた人々の狂気・末路が紹介されているAmy Wallaceの『呪術師の弟子:カルロス・カスタネダとの人生』は、愛する人や自らがカルトに染まらないための予防に役立つと思います。
みなさんの参考になれば幸いです。

2023年2月2日木曜日

Judy Woodruff (ジュディ・ウッドラフ/ジュウディ・ウッドロゥフ)

 かつてのルームメイトのガールフレンドは、あたしたちと同じアパートの下の部屋で暮らしていました。
しかし、あたしがルームメイトの部屋に転がり込んでから1年ほどで二人は破局、彼女はアパートを引き払い、彼の傷心旅行に付き合わされたりしました。

二人がまだ愛し合っていたころ、彼女が夏休みに実家(どこだったのだろう?)に帰ることになりました。留学生のあたしは、ホグワーツの冬休みのハリーと同じで帰るところもないので彼女が飼っていたガラムという名前のキジトラ(アメリカだけにたぶんアメリカンショートヘア)の餌やりを頼まれました。

彼女の名前がJudyで、発音をカタカナで記すと「ジュディ」、ウにアクセントがありデフォルメすると「ジューディ」に聞こえます。

表題の「ジュディ・ウッドラフ」は、PBSニュースの名物キャスターです。
日本語版のウィキには、「ジュディ・ウッドラフ」とありますが、実際には上記のように「ジュウディ」で苗字も「ウッドラフ」ではなく「ウッドロウゥフ」に聞こえます。

相変わらずくどい文章ですが、そこが勝手ブログの自由なところ。
大好きだった、ジュウディが2022年末についにキャスターを卒業しました。
そのお別れの挨拶が最高に素晴らしかったのでご紹介します。

このビデオが流れるのは本番まで知らなかったときまり悪そうな表情ですが、かつての同僚、今は亡きグウェン・イフィルのこと、一緒に働いて来た仲間たち、PBSを信頼してついてきてくれた視聴者たちへの惜しみない感謝のことばがよどみなく続きます。

2020年の大統領選が終わってからの彼女のスピーチも素晴らしかったですが、今回の挨拶も素晴らしい言葉の数々にフェイク情報にズタズタにされた今の世界の分断に思いがいたり涙が出てしまいました。

番組終了後のスタッフたちの暖かい拍手。失われつつある、かつてのアメリカがここにある。

2022年11月24日木曜日

シンウルトラマン※ ★☆☆☆☆

しばらく前、町で話題になっていたシンウルトラマンがアマゾンプライムで公開されていたのでさっそく見ました。
良い評判の記事に接していたせいか楽しみにしていたのですが、予想に違い残念な作品でした。

以前、シンゴジラの記事でも書いたのですが、教養ぶる(なんて言葉はないと思うけど)セリフの数々が野暮ったくて。
みなさん指摘してますが、役者のセリフも説明ばかりで退屈でした。

パロディだとしても面白くなかったし。
怪獣だって「怪獣」のままでいいし、科学特捜隊だってわざわざ言い換えなくてそのままでいいでしょう。昔の暴走族じゃないんだから(笑)

ストーリー上、長澤まさみと斎藤工の信頼関係がまったく形成されてないのに、長年の付き合いがあるかのような展開になっています。
あれだけの付き合いで頬をひっぱたくぐらいの仲になってないですよね。

なぜ長澤まさみを他部門からわざわざ異動させてきて新入スタッフにしたのでしょう?
もとからいる課員(部員?)という設定にしておけば二人の信頼関係が出来上がってる状態からの展開にできたのに。

ひょっとすると登場のやりとりで長澤まさみが優秀だという場面を作りたかったのかもしれませんが、不要でしょう。だって、その後の展開で彼女が優秀である必要がまったくないし。またまたキャリアウーマン(死語)コンプレックス

斎藤工がウルトラマンに成る前と後で人格が変わっている感じも描かれていなくて、ウルトラマンに成る前から同じような変人だったかのような描かれ方をしています。

今回もディテールだけ先に考えてつなぎ合わせた映画でした。

最後に。
せっかくウルトラマンなんだから宇宙人相手の戦いじゃなくて怪獣だけにしてもらいたかった。

2022年11月6日日曜日

Happy Traum とディラン "I shall be Released"

ポール・バターフィルドのハーモニカ教本を2011年に買ってすっかり忘れていたという間抜けな話を2017年に書いたことがあります。

この教本でポールが教えてくれた数曲は、おかげさまであたしのお気に入りの持ち曲になりました。中でも「St.James Infirmary」は、最重要曲のひとつになりました。(この曲についても以前別の記事をポストしました

さて、上記のポールの教本で模範演奏の伴奏をしているのがHappy TraumというギタリストでUSでもかなり著名な方だそうです。日本語のサイトで検索するとほとんど情報が出てきませんが、来日公演もされていて、あたしが無知なだけでみなさんご存知のアーティストなのかもしれません。

このハッピーの伴奏があまりにも素晴らしいので、自分のハーモニカの伴奏にもこんなギターの音が欲しいなと調べたところ、上記のポールの教本と同じ出版社からハッピーのギター教本「Happy Traum Teaches Blues Guitar」が出ていることがわかりました。(自分で覚えて自分で伴奏音源作ろうと思ったのですができるわけありません)

ポールの教本と同じくページ数も少なくシンプルな教材で、少しずつですが最終楽曲まで進められています。

もちろん超へたくそですが、ハッピーの持つグルーヴのほんのちょっとでも自分のギターから感じられると最高の気分になります。(特に彼の専門、フィンガーピッキングのRock Me Mamaという曲は最高です。でもママとロックするって・・・)

次から次とこれでもかとテクニックやバリエーションを詰め込んだ国産の教本と違って、初心者にHappyの親切な語り口でゆっくりと少しずつ基本を順番に教えてくれる味わい深い教科書です。

日本のギター教本って、辞典みたいに「これもある、あれもある」といった羅列的な内容のものだったり、著者が自分の腕前を自慢するために書いているような(他の著者にバカにされたくないから?)本ばかりで、ちっとも生徒のためを思って作ってないような気がします。

対してハッピーの本は本当に初心者のことを考えてくれていて下手なりにステップを踏んで進んでいけます。

初心者的には教材がEキーのブルースというのも嬉しい内容です。
国産のブルース教本は、Aキーで教えることが多くていまひとつだと感じています。(Happyも本文で言っていますが、ブルースは全体の7割以上がEキーだそうですし。ブルースハープの名曲もEキーが多いような気がします)

さらに話題がずれていきます。

ギターは相変わらず下手ですが、「弾き吹き」にも挑戦したくて、ご存知ニール・ヤングの『Heart of Gold』をジャカジャカ演奏で練習していました。

少しレパートリーを増やしたくなって『I Shall be Released』はどうだろうと思い立ちました。もちろんザ・バンドのものもいいのですが、「弾き吹き」目的なのでボブのバージョンを聴くわけです。

この伴奏や途中で入る合いの手やコーラスが実にいいんですよね・・・・って、調べたらなんとハッピー・トラウムだっていうじゃないですか。

以前、ハッピーのことを書いた時、「ボブ・ディランと仕事をしたこともある」って自分で書いていてすっかり忘れているわけですよ(笑)

いい加減呆れますな。

そのハッピー本人のブログに、ボブとのレコーディングのエピソードがありましたので、いつものように拙い訳ですが引用してご紹介します。

(1971年の10月、ハッピーはボブから電話をもらい「グレイテストヒッツ、ボリューム II」を一緒にやらないかと誘われコロンビアのスタジオで合流します。スタジオについたらエンジニアをのぞけばボブと二人だけだったので驚いたと。はじめに「Only a Hobo」という曲を演ったところあまりうまくいかなかったので使わないことになったそうで。次の曲の「I Shall Be Released」にとりかかりました)

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さいわい2つめの曲「I Shall Be Released」では、リラックスして演奏ができた。

ザ・バンドの曲とちがった跳ねるリズムだったが、ぼくが得意とするブルージーなフィンガーピッキングのスタイルにぴったりだった。

ボブはAキーで弾いたので、ぼくは5フレットにカポをつけEポジションで演奏した。低音のハンマリングと高音の6度を組み合わせスライドとプリングオフでアクセントをつけた。

ぼくがコーラスで加わるとボブは、ニヤっとした。すぐに次の曲にとりかかり、どんどん楽しくなってきた。(ポール・バターフィールドの教本の方でもハッピーが合いの手や鼻歌をつけていてそれがまたいい感じです)

次の曲は、"Down in the Flood"の演奏がGブルースなのでプレイしやすかった。

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追記)Happyは、2024年7月に亡くなられました。R. I. P.