『秘密の森』では登場人物の関係性を視聴者に説明するようなセリフやシーン(エクスポジション)がありません。
日本のドラマでは、居酒屋だったり、関係者が一堂に会しているパーティなどで脇役などが主人公に「あの人は、○○財閥の御曹司で、異母兄といま財産をめぐって熾烈な争いをしているのよ」なんてやたら説明臭い場面(ダイアローグ・エクスポジション)がありますが、このドラマではまるで現実に起きているやりとりを視聴者は、その場で見ているかのような演出で、背景説明が一切ありません。
じっくりと話数が多く少しずつ背景を語ることができる韓国ドラマならではのアドバンテージだと思います。(見ている方が後で忘れてることが多いですが(笑))
例えば、シーズン2で「イ・ソンジェ」という人物についての会話が頻繁に出てきます。(シーズン1では、その存在について言及がありますが名前までは出てきません)
彼について初めて言及される場面では、ハンジョ財閥の長男でイ・チャンジュン検事長の妻、イ・ヨンジェの異母兄だという視聴者向けの説明は、まったくありません。(おまけにヨンジェとソンジェで一字違いなのが余計わかりにくい)
おまけにこの「イ・ソンジェ」という人物にはキャストが不在で、出演者たちの会話だけに登場してくるキャラクターだということがわかりにくさが倍増します。
いつか画面に登場するのかと待ちましたが、ついに最後まで現れませんでした。
イ・ヨンジョの父親、つまりイ・チャンジュンの義父、ハンジョ財閥の会長は、イ・ユンボムという名前なので、日本人である我々にはイ・チャンジュン、イ・ソンジェ、イ・ヨンジェ、イ・ユンボムと続くともはや誰が誰だか判別がつきません。
私たち視聴者は、画面の中の彼らの会話を”仄聞”して相関関係を知り、自分の理解力とこれまでのエピソードとのつながりを想起して登場人物たちの利害関係や消息などを導き出さなければなりません。
その意味では不親切な脚本ですが、そのために物語のリアリティと重厚さが際立っています。
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