食事の話題でいいますと、第6話でヨジンが街の香水店にいるファン・シモクを見かけて「食事でもどう?」と誘う場面があります。
こんなに自然に、そしてスマートに異性を食事に誘える人はなかなかいないと思います。そもそも異性であること自体を気にしていないようにも思えます。
ハン・ヨジンが性別や身分、年齢など関係なくあらゆる人に心を開いている人だということがわかる場面です。
香水店の後、食事がすんでからの二人の推理劇のシナリオは秀逸です。
風俗嬢クォン・ミナの傷害事件の容疑をかけられてしまったシモクは、ハン・ヨジンを伴い風俗店を再び訪れます。
店の経営者(美しい)を責める二人のコンビネーションは絶妙で、とりわけヨジンのクォン・ミナの住所を犯人に知らせてしまった経緯について経営者を追い詰める発言が心に刺さります。
(クォン・ミナの携帯待受け楽曲を伝えようとするシモクの下手なハミングに呆れた顔をするペ・ドゥナの演技も最高です)
店を後にしたシモクが同僚のソ・ドンジェにはクォン・ミナの住所は突き止められないと思いこんでいた心理は、シモクの優越感であると気が付いた二人。
シモクは自分にそんな感情があったことに驚き、ヨジンは逆に優越感以外にもたくさんの感情が隠れているのだと、(当時ネットで流行っていた)脳内メーカー(マップ)をノートに書いてシモクにプレゼントします。
こころなしか嬉しそうにするシモク。そして別れ際にトボトボ歩き去るシモクの背中に「胸を張って!」と活をいれるヨジンの暖かい心に思わずホロっときます。
(帰路の車中、ヨジンが自分たち二人は信頼できるとほのめかした発言にシモクが初めて笑顔を見せる場面があります)
被害者の老母を食事に誘った上、自宅へ誘い料理までねだることができる所以だと思います。
老母が作ってくれたナムルを見てはしゃぐヨジンは、『威風堂々な彼女』のウニに似て、まるで実の娘が甘えているように天真爛漫でキュートです。(第3話)