ここまで『秘密の森』についてくどくどと綴ってきましたが、最後に作品全体を通して印象深く思った内容について記しておきます。
◎スマートフォン
この作品に限らず、最近のドラマではスマートフォンが小道具として使われることが多いですが、『秘密の森』では特に演出面で重要な役割を果たしていることが多いと思いました。
重要な会議中でもスマホを受けても構わないカルチャーであったり、運転中にスマホを使って容疑者の身柄を照会したりと大活躍です。
会議の重要な場面や容疑者の聴取ですかさず録音したり、二台持ちで隠し録音したりとまったく油断できません。
部屋のメンバーにばれないようにメッセージを使ってこっそりシモクを呼び出して問い詰めるヨジンなんていうシーンもありました。
◎自動車
検察の面々やヨジンは、移動の際に同乗せず、一人一台で移動するのは、どういう習慣なのだろうと思いました。
みんな同じミーティングで同じ場所に行くのに別々の車に乗って移動するのが当たり前なのでしょうか。
いった先の後に別の訪問先があるからか?
しかも、みんなやけに良さそうな車に乗ってるし。w
◎日常風景
シーズン1の特任チームの夜食の風景がいかにもリアルだという話を書きましたが、このような彼らの生活を描く細かい芸が好きです。
第9話では、ヨジンが龍山警察を訪ねると、昔の仲間が出前の話をしています。サイという店の名前を聞いたヨジンが、「サイ!なつかしい私も行きたい」と嘆息します。
同じ第9話で、シモクが電話で話している時、他のメンバーが昼食に出ます。でがけに事務官が「あとでお店教えますね」と声をかけます。サラリーマンをやっているといかにも覚えがあるシーンです。
第14話では、急遽目撃者の捜査に向かう必要が出た際、事件の担当からはずされていたシモクに上司のウ・テハが「半休使わなくていいぞ」と声をかけるあたりも妙にリアルで実に考え抜かれたシナリオだと思います。
◎捜索シーン
第14話は、拉致された同僚検事の捜索が中心と言える回です。
被害者の衣服が捨てられたゴミのコンテナーをこじ開けるために必死になったシモクが手を怪我するところなど芸の細かさが光ります。
シモクのケガと言えば、シーズン1の第1話は、冒頭の殺人現場からケーブルテレビ職員のカン・ジンソプの逮捕までのスピード感で視聴者を一気に物語に引き込みますが、ジンソプの追跡の途中、突き飛ばされたシモクがガラスを破って転がるシーンがあります。
ここできちんとケガをするのが素晴らしい(笑)
さて、シーズン2の最大の山場と言えるのが山狩りシーンです。
動員したキャストの人数もすごいし、ドローンや警察犬の手配などてきぱきと指示を出すヨジン。かけつけるチェ・ビッ部長。押しかける報道陣、そんな中、子供に宿題をいいつけるチェ・ビッ。疲れが溜まっているヨジンの姿。最後に、見つかったというところで打ちあがる照明弾の打ち上げに至るまで、臨場感がたまりません。(本物をみたことないのでそうだろうというイメージですが(笑))
とにかく素晴らしい演出だと思いました。
![]() |
| 臨場感あふれる捜索シーン(第14話) |
◎最後に
さて『秘密の森』の項目としてはラストになりますが、シーズン1、2を通して、ヴィランが不在な上に物語の中で起きる凶悪犯罪が一つを除いて、いずれも現実にいかにも起きそうな事件です。
特にシーズン1の実行犯の動機は、山上徹也被告が犯した安倍晋三首相銃撃事件ととても似ているため、凡庸な犯罪ドラマにはないリアリティが感じられるのだと思います。
.png)
.png)
.png)
.png)
.png)
.png)