2017年3月31日金曜日

『呪術師の弟子:カルロス・カスタネダとの人生』の目次ページ

ブログ記事の整理作業をしていますが、

エイミー・ウォレスの『呪術師の弟子:カルロス・カスタネダとの人生』の一連の記事を順番に並べた目次ページをとりあえず済ませました。

決して見やすくはないので、見栄えもおいおい編集して改良していきたいと思います。

2017年3月30日木曜日

ビューティーボイストレーナー

『カラオケビューティーボイストレーナー』って商品がありまして。
このブログでは明かしていませんでしたが買ってたことを告白します。

2007年の6月です。

記録をみると、ボイトレ本などを買って練習するようになったのは2012年からですから、それよりも大分以前から自分の声について気にしていたのだな~というのがわかります。

そもそも「カラオケ」については今もさほど好きではなく、お酒を飲んでも行くこともありません。

ブルースハープをやるようになった流れで歌を唄うのが好きになってきましたが、そのハーモニカを始めたのが2009年の11月。
それよりも2年も前に「ビューティーボイストレーナー」を買っていたことになります。

たしか、この頃からマイコプラズマ~咳喘息に悩まされていて自分の声の通らなさに悩んでいまして、それで購入したのだと思います。

当時、購入した後、少しだけ使ったのですが習慣化せずに、それから10年近く放置してきたことになります。

最近、ふと思い出して再度使い始めてみたところ効果が凄くて自分でもびっくりしましてブログに書くことにしました。一段と、喉が開いて、声が太く、深くなります。

購入時は歌の趣味がなかったので、声対策としては、この道具しかなかったのですが、その後、独学~レッスンと曲がりなりにも5年の基礎練習を続けてきていたところにもってきて喉の開きがこの道具で相乗効果が表れたのではないかと推測しています。

値段はそれなりにするし、見た目も怪しげな大人のおもちゃみたいな感じだし、咥えている自分の姿は、南極1号のようですが、意外といけますよ。

2017年3月26日日曜日

告知:校正作業のため連続投稿をお休みします

Amy Wallaceの本の紹介、長かったですね。飽きますな。

89(※)投稿、連続ですから。興味深い発見はもちろんたくさんありましたが、でもドン・ファン本人についての情報はありませんでした。

※追記:ノンブルのミスで全部で90でした・・・。ことほど左様に。

ここでちょっとブログの連続更新を休んで既存のカスタネダ関係の投稿の校正作業や、目次ページの整理・校正を進めたいと思います。

誤植や変換ミス、リンク、別途立てた、まとめの時系列ページの整理などを行ってから、次に進めます。
大きな修正や訂正については「追記」という形で足跡を残します。

また、既存投稿の中に多く残されたペンディング(pending)と記された部分については多くがAmy Wallaceの本へのレファレンスですので、これらとの整合の作業も少しずつやっていこうと思います。

実は、マーガレット・カスタネダの『Magical Journey with Carlos Castaneda』を読み進めています。
順番でいいますとこちらの方をAmyより先に読んだ方がいいのでしょうがなんとなくこんな流れになってしまいました。
いずれ、こちらも紹介できればと思っています。


2017年3月25日土曜日

Amy(90)【付録2】彼らはいまどこに?(2/2)

Escort Mk5b.jpgウィキペディアによると、フォードの「エスコート」は六世代に渡るモデルチェンジをしています。ブルー・スカウトが乗っていた赤い車は、どの車種だろう?と思いました。

カスタネダが亡くなったのが1998年ですからひょっとすると写真のマーク5bかマーク6だったのでしょうか?

2003年の2月、Panamint Springsのそばの砂漠でハイカーたちが遺骨を見つけた。保安官捜査官のMarson Matweillerは、この骨がPartinのものだと疑っていたが証拠がなかった。遺体は明らかに狼に食べられていた。わずかに残っていた骨も状態が悪かった。

メンバーたちには、Pattiは、カルロスと一緒に(おそらく”無限”に)去ったと告げられた。(だが、四人の魔女たちが消え去ったあと、彼女がロサンゼルスで車を運転しているところを目撃されていたのだが)

その三年後の2006年の2月、技術が進歩したのもありPartinの家族が遺体のDNAサンプルを手に入れ検査したところPartinのものだということが判明した。

これに続いてロス警察が、同様に行方不明のAmalia Marquez、別名Talia Beyの事件を公開した。彼女の兄Luisと妹のCarmenによると二人は1999年来、警察に捜査を依頼していたが無視されていたという。

当時、Amaliaの父はガンに侵され死にかけていて娘に別れを告げたかったそうだ。Amaliaは当時クリアグリーンで働いていて父親と話すことを拒んでいたので――カルロスは、彼女に両親との絆を絶つように命じていた――彼女の父親は悲嘆にくれ死んでいった。

Lydia Dillard刑事によると、Amaliaの事件はPartinの件が明らかになるまで注目されていなかったという。Marquez家は、自分たちの答えをずっと探し求めていた。

2006年の夏、保安官捜査官のMatweillerは、マスコミにPartinの遺体が見つかった場所から遠くないところにある廃坑を調査することになるだろうと告げた。

カルロスは、よく冗談でTalia(Amalia)は、廃坑に身を投げて死にたがってると言っていたのを思い出した。

こうした情報は、ジャーナリストのRobert Marshallによって集められた。彼は、カルロスの著書にちなんだ”分離したリアリティ”という本を著していて若いころにカルロスに大きな影響を受けている。

現在、ロス警察は、MarshallとAmaliaの兄、Luizの要求に基づきMarquez事件の捜査を続けている。
おそらくこれが魔女失踪の第二のケースとなるだろう。

少しの例外を除いてグループや組織は広がって変化した。

カルロスの死後、Carol Tiggs、”ナワール女”は、Elizabeth Austinという偽名でWestwoodの近隣にアパートを借りた。私が彼女のために探した住まいだ。

ある日、彼女が言った「Pacific Palisaders(ロスの地名)にいる私の母のところに一緒にいかない? ちょっと遠いけど
私は少し不安だったが承知した。

しかしこの旅行は実現しなかった。Carolがアパートを引き払ったのだ。私は大家に行き先を知らないか尋ねた。私は彼女宛の手紙と彼女に贈ろうと思っていたアクセサリーを持っていた。
彼女は、Palisadesにいる母親と暮らすと言っていたけど、住所は知らないな」と大家が言った。

最近、Robert Marshallから、彼女の母親が亡くなったと聞いた。そしてCarolは、その家に住んでいいたそうだが、ウワサに過ぎない。だが、私はそれが彼女だと信じたい。

彼女はいつも「不決断の決断が私をここに留めているの――私は去った人も嫌いだし、後に残っている人も嫌い」 

孤独な人。取り決めに従って死なない勇気をもち、グルであることに疲れ、情熱も夢もカルロスに打ち砕かれてしまった。

でも私は彼女の頑固さと”彼女の乳首を吸い続ける”信者たちのいるロスから離れて生き続ける意志にに敬意を表する。

彼女が自由になっていることを祈っているし、私もゆっくりと悲しみから回復していきたい。

猫のヘンリーに癒してもらうのがいいかもしれない。彼は、犬に頭ごと噛まれているところを救われたのだ。彼は、犬は嫌いだが他に楽しいことをたくさん知っているし、自分を大切にしている。もし別の世界というものがあったら彼は、そこをおごそかに通り過ごすだろう。

彼が私にくれたものはもっともすばらしい贈り物、見返りのない寛容の心なのだから。

『Sorcerer's Apprentice(抄訳)』(完)

2017年3月24日金曜日

Amy(89)【付録2】彼らはいまどこに?(1/2)

いよいよ、Amy Wallaceの『Sorcerer's Apprentice』最後の項目になりました。

この本が出版されてから四年が経ち、いろいろなことが起こった。

告白、憶測、そしていくつかの証拠。これらを通じて私はカルロスの死後、ロサンゼルスを去った5人の女性たちが自殺したという結論に至った。

詳しい説明に入る前に、死と行方不明に対して精神的な安定と自殺についていくつか指摘をしておきたい。

2002年、ニューメキシコ州のサンタフェで、一人の女性が、”第二の注意力にいるナワールに加わるため”といって橋の上から谷底に身を投げた。

彼女の家には、カスタネダの死後発行された『カスタネダの教えベスト(『時の輪』のことか?)』が見つかった。
カスタネダの初期の著作に書かれていた幻覚剤の過剰服用によって同じような事件がいくつも起きた。
生き残った連中もその後、精神科の病院で長い間闘病を続けている。

クリアグリーンは「魔女たちは生きていて、旅をしている。彼女たちは私たちの仕事を遠くから見守っている。ここでの仕事は私たちに任せている」と公式コメントを出しているが、彼女たちが死亡していることは明白だ。

フロリンダ・ドナー(と私)は、どういう理由かはわからないが、他の弟子たちと異なり両親との関係を続けることが許されていた。

彼女はドイツにいる両親に毎週電話を入れ、私が付き合って買ったプレゼントを贈ったりしていた。また彼女の兄弟の一人は、彼女を訪ねたりもしていた。

フロリンダの失踪後、Richard Jenningsは、Gabi Buenther(彼女はドイツ語が堪能だ)に頼んでフロリンダの両親に電話をして彼女から連絡がないか尋ねてもらった。

Gabiは、ご存知、The Followersです。

両親には連絡は入ってなく、彼らの愛娘の突然の失踪を泣き悲しんでいた。

1998年の5月初旬。カルロスの死後、数週間後、Patti Partin、カルロスの養女であり愛人、別名”The Blue Scout”は、ロサンゼルスの東にあるデス・バレーのPanamint ADunesのハイキング・トレイルに彼女の赤いFord Escortを置き去りにした。
ダッシュ・ボードに残された書類から警察は、クリアグリーンの事務所の連絡先を知った。

警察から電話があったとき、私はちょうど事務所にいた。Brandonが電話を取った。

警察は、ある知らせを持って到着した。Tracy Kramer以外の者は事務所から出るように言われ、彼だけが警察と話をした。会話の内容は明かされることはなかった。

ほどなく、Tracyは一人で砂漠にでかけていた。公式には、Pttiを捜しに現地に赴いた。だがみんなは自殺しにいったと恐れていた。

カルロスは、私によく話していたものだ。

もしBlue Scoutが僕と”無限”に行けなかったら、彼女は彼女の赤い車で砂漠に行って、スピードを出して車が高い場所まで登っていかなくちゃいけないんだ

2017年3月23日木曜日

Paul Butterfield - Blues Harmonica Master Class

教本は、これまでも結構買い込んでいるのですが、最近、にわかにブルース・ハープ教本の再ブームになっています。

どうせ買っても、そんなにやりこむわけでもなし、宝の持ち腐れになるのが落ちなのですが、アマゾンの「ほしいものリスト」に入れておくぐらいならバチにあたらないだろうってんで、ここ数日、洋書ものをせっせとリストに加えています。

そんな中、これまで存在に気がつかなかったのが表題のポール・バターフィールドの教本です。

いろいろ曲を練習している中、なんだかんだいってあたしはポールの演奏が好きなんだなっていうのを最近、実感しているのもあり、この本については実際に買おう!なんてムラムラとなってきました。

本国、AMAZON.COMの方に寄せられているレビューなんぞをつらつら眺めている内に、ふと画面の上部に目をやりますってえと。

あんたは2011年の10月にこの本を購入済みです」というメッセージが!!

ところが、あたしには、この本を買った記憶がまったくありません。
大臣の国会答弁のようです。

Jon Gindick's
COMの購買記録を見ると、Jon Gindickの『Rock n' Blues Harmonica』という教本と合わせて確かに買っていることになっています。

こちらの本は、確かに記憶にあります。Jon Gindickは、Adam Gussowの動画で知ったブルース・セッションの「合宿」を運営している方でどんな教本なんだろうと興味を惹かれて購入したのです。
でも、ポールの方は記憶にない。

もしかしてポールの本を注文していたのにすっかり忘れてGindickの本に意識が行ってしまい本が到着していないのに気がつかなかったとか???

・・・とか、悩んでいる内に、もやもやと脳裏に、Gindickの本と一緒にもう一冊あったかもというイメージが蘇ってきました。
・・・だからあながち大臣たちの記憶から抜け落ちているのも責められないのかもとかバカなことを考えてしまいました。

本棚をくまなく探したらありました。数ある教本の間に。しかも付属のCDの封もあけていない状態で。
だから大人買いってダメなんですよね。

ショックを受けました。・・・・って自分の記憶のなさ度に。
しかもポール・バターフィールドですぜ。相手は。

さっそく6年前に買った本のCDを聴いてみましたとも。

ポールの声でね。なんか素朴な英語で。「僕が育ったシカゴで聴いたプレーヤーたちに影響受けた。たとえば、リトル・ウォルターの流れる(fluid)ようなサウンド。サニー・ボーイ・ウィリアムスンの元気(stark)で固い(hard)演奏、ジュニア・パーカーのスムーズでリラックス、だらっとした感じ、彼は僕のお気に入りの一人です」とか言って実際にマネしてくれるんですよ。

しかもですよ。歌うんですよ。彼が。歌の指導までちょこっと教えてくれます。
歌付きのブルース・ハープ教本なんてありませんぜ。こんなステキな本をなんと6年以上も放置していたなんて。

チャーリー・マッコイの教本も本人の語りがあって嬉しい限りですが、この教本もそんな持ってて楽しい一冊です。・・・忘れてたくせに。

それで練習してうまくなるかって話も別です(笑)

2017年3月22日水曜日

Amy(88)トニー・カラム 【付録1】主要登場人物ガイド(6/6)

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凡例)
1)本名(または世の中で知られている名前)
2)呪術名(単複)
3)伝説
4)カスタネダや魔女たちが言っていたこと
5)彼らが実際にしていたこと
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1) Marco Antonio Karam

2) Tony Lama

3) 新しいナワール(the new nagual)

4)Tonyは、ティオティワカンのピラミッドでダライラマを迎えるメキシコ仏教徒の集会をアレンジした。その時、高いところから群衆を撮影したフィルムのネガにカルロスが言うところの異世界の捕食者”the flyers”または”吸血鬼”が写りこんでいた。

カルロスは、このような人間の濃密な空間に、この生命が現れやすいと信じていた。捕食者は、エゴイスティックな自己耽溺が大好物だからだ。(カルロスに言わせると、宗教的献身自体が事故耽溺だから)

この写真は、はじめ内部グループで、つづいて1995年のワークショップで開陳された。

5)メキシコの「チベットの家」(Casa Tibet)のリーダー。
         このサイトに、Tony Karam 本人の写真があります。

1994年にカスタネダと出会う。カスタネダは、Tonyが超常能力を持っていると信じロサンゼルスに招いた。

Tonyは、1995年2月に行われたメキシコ・ワークショップをオーガナイズした。天才的な語学力でスペイン語と英語の通訳でも活躍した。”The flyer”の写真を予兆とみたカルロスは、Tonyを強引にロサンゼルスに引っ越させた。

私(Amy)が最初にもらった呪術名、”the Electric Warrior”(伝説的に優れた(non-pareil)魔女にちなんでいる)は、グループに参加している女性の多くに与えられた。

おそらくnon-pareilleが正しいスペルです。

私たちは、すぐに、こうした名前を与えるという行為が、カルロスの死まで続く椅子取りゲームのようにお決まりの誘惑テクニックだということがわかった。

しかし、カルロスがTonyのことを”新しいナワール”と呼んだときはまったく前例のないことだった。

熟考の末、Tonyは、この申し出を断った。
彼はカルロスの話が作り話で彼の教えが破壊的で価値がないものと確信したからだ。

とりわけても、彼は、虚構と複雑に作り上げたごまかし(Byzantine subterfuge)で作られた哲学を人に広める気持ちになれなかったのだ。
カスタネダは後に、Tonyのことを「嘘つきでエゴマニアの馬鹿野郎」だと言っていた。

TonyはEllis(Amy)にこう言っていた「人生をChacmoolの電話番に費やすつもりはないね

2017年3月21日火曜日

Amy(87)ブルー・スカウト 【付録1】主要登場人物ガイド(5/6)

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凡例)
1)本名(または世の中で知られている名前)
2)呪術名(単複)
3)伝説
4)カスタネダや魔女たちが言っていたこと
5)彼らが実際にしていたこと
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1) Patricia ("Patti") Partin

2) Nury/Nuri AJexander/Claude/Ciaudine/ Nuli/the Blue
Scout

3)女ナワールとナワール・カスタネダとの間に実体化した”非有機世界”からきた存在。一般には彼らの娘として紹介されていた。

4)カスタネダは、彼の娘が「ドン・ファンに育てられた」とか「フロリンダが育てた」とか「養護施設で見つかった」とか「七歳のときにカスタネダは彼女に強姦された」とか言っていた。
カスタネダは、Ellisに彼女が”男を軽蔑して”いて”七歳児の感情”を持っていると言っていた。
また、Ellisに「君は僕の娘の分身だ――ベッドにいると区別がつかない」といっていた。

Claudeは、内部メンバーを選んだり拒否する権限を持っていた。非常に過酷にその力を行使していた。

強烈に嫉妬深く”て”エゴから解放された”存在だと言われていた。
カスタネダは、彼女が”人間とは異なる性器”を持っていると言っていた。内部サークルで裸で踊るときにみたが普通の性器だった。

5)1957年、南カリフォルニアで生まれる。高校は卒業していない。1976年(19歳)、ウェイトレスをしている。ハリウッドの作家・プロデューサーのStirling Silliphantの息子、Mark Silliphantと1977年に結婚。Markは、カスタネダの一冊目の作品の映画化を企画していたことがある。

結婚して19日目に夫と別居、後に離婚。彼もカスタネダのグループに関わっていたものと推測される。Markは、この話題について話すことを拒んでいる。カスタネダは、その後、彼女の華美な生活を支援する。77年か78年、おそらくカルロスが指示した内容の手紙を送り、彼女は自分の家族との関係を断つ。1990年代に、カスタネダは彼女を養女にした。

カスタネダの死後ほどなく屋敷を去った。その後、二週間にわたりストーカー(GregとGabiのこと?)が彼女がロスで運転している姿を見かけている。しかし、サークルのあるメンバーは、彼女が屋敷の中で「内なる炎で燃えた」、あるいは「ナワールと一緒に燃えた」と教えられた。彼女の車はほどなく、カリフォルニアのDeath Valleyに放置されているのが発見された。


Carol(Muni)はEllisにClaudeは、砂漠のホテルの部屋で自殺を企てて血だらけになったと言っている。そしてCarolは、何百万ドルもの現金を持っていって彼女にアイルランドでプリント・ショップを開きなさいとアドバイスし、自分の未来について喜んでいたと話した。

Muniは、Ellisに彼女は自分の母親(Carolのこと)の足にしがみついて「私は失敗作だ。私は失敗作だ!」と嘆いていたと言った。ジャーナリストが”The Blue Scout's”の家族連絡をすると、彼女の姉(原文では英語のため姉か妹か不明です。左記はあたしの決め打ちです)が以下の返事をよこした:

名前: Kim Partin
日付:1999年11月11日(木)

私の妹のPatty Partinについて読みました。彼女の正体が詐欺師であることは言うまでもなく、完全なインチキであることが判明して喜んでいます。
私は彼女が殺人犯であると思っています。彼女はその心で人々を殺しました。彼女は私を殺し、私の家族を殺しました。彼女は存在もしない”偽りの記憶”による残酷な幼少期を作り出しました。彼女のことを人々が「完璧な存在」と考えていたなんて笑えます。仮に彼女が人間でなかったということが多少なりとも事実だったとしても、私は、彼女以上にひねくれて憎しみを持っている”存在”を思いつくことができません。

2017年3月20日月曜日

Amy(86)キャロル・ティッグス 【付録1】主要登場人物ガイド(4/6)

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凡例)
1)本名(または世の中で知られている名前)
2)呪術名(単複)
3)伝説
4)カスタネダや魔女たちが言っていたこと
5)彼らが実際にしていたこと
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1)Kathleen ("Chickie") Pohlman

2)Carol Tiggs/ Muni Alexander/ Carol Aranha/ the nagual woman

3)女性のナワール(the nagual)に相当する存在。10年間、”第二の注意力”の中に消えていたと言われている。カルロスが著した『夢見の技術』に登場する超自然的存在である"the Death Defier(死への反逆者)"とコンタクトをとることができる。カルロスは、"Muni"(つまりCarol)は我々を彼女の掌の上でコントロールしていると述べている。

4)講演会では、Carolは、19歳の学生の時、メキシコでドン・ファンとカルロスに出会ったと言っている。

5)1947年11月24日、ハリウッド生まれ。1968年にカスタネダと出会う。”第二の注意力”にいたとされている10年間は、カリフォルニアのバークリーとロサンゼルスのパシフィック・パリセーズ(Pacific Palisades)に母親と暮らしていた。結婚をし、1981年に鍼灸の免許を取得した。Carolは、夫を残して去った。後に彼女はEllis(Amy)に彼が”君は連中のところに戻るってわかっていた”と言ったと話した。

カスタネダが彼女が戻ることを許した際、名前をMuni Alexanderに正式に変えた。
カスタネダはEllisや他の人たちに、Carolとのセックスは、”内部の対話を止める”のだと言った――それは”内的沈黙”へのステップである種の悟りのようなものだ。

カスタネダは、自分がFlorinda Donnerとしているように、Carolにいろいろな弟子たち(男女)とセックスをするように命じたが、一方で弟子たちに彼女は”売春婦”だと話していた。

1993年9月29日に、Carol Muni Tiggs Alexanderは、Carlos Aranhaとラス・ベガスで入籍した。この二日後に、同じ場所でカスタネダは、Florinda Donnerとも入籍をしている。

カスタネダの死後、彼女は、ロスのWestwoodでアパートを借りて世捨て人のような暮らしをした。

カスタネダの遺言が正式に認められると、彼女は、カスタネダの著作の印税とクリアグリーンのセミナーからの収入で大金持ちになった。

彼女はEllisに「カスタネダが女性嫌い」で、「彼女の心を破壊」したと言っていた。そして彼女が”深刻に病んでいて”、”本格的な治療を必要としている”と言っていた。

といいながら、彼女は自分が”空の自我をなくしている存在”で”内的沈黙”を得ているとも言っていた。

彼女が人に自分の超自然的な能力についてたずねられると「あなたはまだこのことについて理解する段階に達していないので、もっと進歩してから離しましょう」と答えていた。
仲間の呪術師たちのことについて「残された連中は好きじゃないし残っている人たちも嫌い」と言っていた。

2017年3月19日日曜日

Amy(85)フロリンダ・ドナー 【付録1】主要登場人物ガイド(3/6)

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凡例)
1)本名(または世の中で知られている名前)
2)呪術名(単複)
3)伝説
4)カスタネダや魔女たちが言っていたこと
5)彼らが実際にしていたこと
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1)Regine ("Gina") Thal

2)Christina Casablanca/Florinda Donner-Grau

3)ドン・ファンの四人の弟子のひとり。熟練した「夢を見る者」。

4)講演会で、彼女はドン・ファンの元で学んだと言っている。そしてカスタネダと共にthe Orange Scout、Tarinaの親だと言っている。彼女の著書『Being-In-Dreaming』では、彼女はドン・ファンとその仲間たちと1970年7月に出会ったと書いている。

5)ヴェネツィアでドイツ人移民の家庭に生まれた。1970年にUCLAに入学。空手の教室でTaishaと出会う。Taishaがフロリンダをカスタネダに紹介する。ドイツ人のビジネスマンと5年間結婚していた。二人は、離婚する1972年の半ばまでManhattan Beach(ロス西部)に暮らしていた。
(フェリーニとの時期的関係がよくわかりません)

1972年~1973年までフルタイムでUCLAの学生だった。ちょうどドン・ファンとその仲間たちがこの世界を離れたという時期だ。1974年6月にUCLAの文化人類学で修士号を取得した。博士号を修了せずにUCLAを去った。1975年にカスタネダは遺書で彼女を相続人に加えた。

1990年初頭、彼女のドン・ファンとの弟子修行について『Being-In-Dreaming』という本を出した。しかし1992年、Dimensions(雑誌?)のインタビューで「私は、ドン・ファンの弟子ではなくて、ドン・ファンの弟子だったカスタネダの弟子です」と答えている。彼女のオリジナルの話とまったく異なる発言になっている。
彼女によると、ドン・ファンは”セックスに関して非常に活動的”だと言っていてカスタネダの著書の内容と矛盾している。

1993年9月にラス・ベガスでフロリナ・ドナー名でカスタネダと結婚した。(カスタネダ67歳。フロリンダ49歳)
彼女は後期に行った講義でカスタネダはセックスをしていたと発言。公式に、彼は10年間、(宗教的に)独身を貫いているとなっていた。

1998年、カスタネダの死後3日目から姿を消した。その一週間前、エリスに「これから始まる大騒ぎに巻き込まれたくないわ」と告げた。クリアグリーンは、彼女は、現行のワークショップを”監修”していると言っている。

カスタネダの弟子たちが教えているワークショップを運営しているクリアグリーンに問い合わせるとMs.Grauは、旅行をしていると告げられる。

2017年3月18日土曜日

Amy(84)タイシャ・エイブラー 【付録1】主要登場人物ガイド(2/6)

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凡例)
1)本名(または世の中で知られている名前)
2)呪術名(単複)
3)伝説
4)カスタネダや魔女たちが言っていたこと
5)彼らが実際にしていたこと
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1)Maryann Simko

2)Taisha Abelar (と、"the theatre of the real"における数々の呼称)

3)ドン・ファンの四人の弟子のひとり。熟練した「忍び寄る者」。

4)メキシコにあるドン・ファンの魔法の家で一年間暮らしていたと言われていて、その後10年間、彼の弟子だった。後に、カスタネダだけの弟子だったと話を変えている。後にEllis(Amy)との会話では再び曖昧になり「彼ら」に習ったという言い方をしている。

5)UCLAの学生で19歳のときにカスタネダに出会った。UCLAの文化人類学の修士、博士課程を修了。彼女がメキシコでの修業中といっていた同じ時期、コミュニティカレッジで教鞭を取っていた。

1974年と1975年、ドン・ファンに禁じられていたにも関わらずフロリンダと空手の練習風景を写真に撮られている。カスタネダが亡くなったあと、タイシャはロスを離れ、その後消息不明。キャロルは、エリスに、タイシャは死んだと言っているが、クリアグリーンの広報は、「タイシャは、遠方からワークショップを指導している」と言っている。
キャロルは、後に、エリスにキャロルがある場所でタイシャに会ったと言っている。エリスは、キャロルにタイシャへのプレゼントを託した。「ありがとう」というメッセージをもらったとキャロルが言ったが、怪しかった。

エリスは今ではタイシャは死亡していてキャロルとも実際には会っていないと信じている。

2017年3月17日金曜日

Amy(83) 【付録1】主要登場人物ガイド(1/6):説明

この付録には『”分離したリアリティ”対 現実:主要登場人物の呪術的伝説と実生活の様子の簡易比較』という副題がついています。

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凡例)
1)本名(または世の中で知られている名前)
2)呪術名(単複)←”複”というのは、同じ呪術名で複数の人がいる場合だと思います。
3)伝説
4)カスタネダや魔女たちが言っていたこと
5)彼らが実際にしていたこと
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この本には登場人物がかなり多くわかりにくところもあるので読者の便宜ために用意した。

Carlos Castaneda
Florinda Donner
Taisha Abelar
Carol Tiggs/Muni Alexander
Claude Alexander
は、本文では実名と呪術名両方で記載されている。

他の登場人物の中には、実名も呪術名も本人の希望により変えてある場合がある。
便宜上、実名は公に知られている人物だけに限った。

では、明日より、一人ずつ参ります。

2017年3月16日木曜日

Amy(82) 2007年版に寄せて(2/2)

Hainesによると、カルロスの学位取得活動の初期、常にカルロスが言っていたとおり、メキシコに薬草を探しにいっていたそうだ。そこで彼は年老いたヤキ・インディアンに出会った。その人物はGrandfather Cachoraといって、カルロスは彼とある取り決めをしたそうだ。

Cachoraは、呪術を~十分に~教えた。その結果、三冊の本はベストセラーになりカルロスは有名で金持ちになった。当初の取り決めでは、本の売り上げの半分をカルロス、残りの半分がGrandfatherに行くことになっていた。Grandfatherはその資金をヤキの生活向上に役立てるつもりだった。

Cachoraというヤキ・インディアンについては、このカスタネダのおさらい活動の中でネットの中で出会いました。2012年あたりの記事が日本語情報も検索にかかってきます。
また、これまでのポストのなかでたまに登場するSustained Reaction sutainedaction.org )というサイトでは彼についてのディスカッションがなされています。このあたりいずれ読んでみようと思っていますが、現時点ではペンディングとします。こちらの記事でも触れています。)
(pending)

このAmyの話で少し気になるのは、カルロスが論文を書いた時、ハナから商業的な本を出版する話が最初からあったのだろうか?という点です。
カルロスが野心家であるのは確かですから出版する気があったかもしれませんが、ヒットするかどうかはたまた出版化されるかは不明です。
したがってこうした取り決めを当初からするのは少し変な気もします。
ま、「売れたら山分けね」と言ってあったのかもしれませんね。

Cachoraと仲間たちは、幻覚性植物の混合したものをカルロスに与えた
カルロスは大騒ぎをしだして空を飛べると言い出した。立ち会ったヤキインディアンたちは彼が峡谷に飛び込まないようにカルロスを木に皮のベルトでしばりつけたそうだ。

また横入りします。
カスタネダ批判の代表、デミルがカスタネダの作品を虚構としている最も重要視している要素がヤキ・インディアンは幻覚性植物を使わないという要素です。
また実際にヤキに属するネイティブアメリカンもBBCのドキュメンタリーの中で、そのようにも述べています。
Cachora氏がヤキであるのは間違いがなさそうですので、だれかが間違っているか真実を告げていないということになりますね。

カルロスは激しく抵抗したそうだ。
確かにカルロスは著書の中でこの体験について書いている。

またまたあたしの間抜けな話ですが、そんなシーンありましたっけ?

三冊は、ナンバーワンベストセラーだった。
カルロスは、約束を破って稼いだ利益をぜんぶ自分のものにした。Hainesによると、ずうずうしいことにカルロスは再び、Chachoraのもとを訪ねてもっと呪術についておしえてほしいと言ったそうだ!
約束を守らなかったので、彼は追い返された。

カスタネダの読者は、しばしば彼の本のレベルが急激に下がっていると言う、無味乾燥な学問的なものになっていく。さらに悪いことに、ドン・ファン(Cachora?)は別の次元にいなくなってしまうのだ。

そうして、シリーズは中心となる――古来から続く、師と弟子の葛藤、愛、そして冒険などの――ダイナミズムを失ってしまう
カルロスは、ドン・ファンの役割を与えられるがシリーズは最初の三冊のような詩的な高みには決して至らない。

これは、カルロスが実際にヤキ・インディアンのドン・ファンが存在したときの内容とカルロスが創作したただのフィクションとの違いといえるのではないだろうか。
こうした話は結局、白黒つくものではなく、どこかその間にあるのかもしれない。

カルロスは、彼のクラスの中でいつもの謎めいた発言をした。

だから、僕はくだらない本を書くことにしたんだ!何を言えばいい?僕は確かにくだらない本を書いたさ!なぜだかはわからない!」彼は心から笑っているようだった。生徒もつられて一緒に笑っていた。
私は、こうした、ふざけた自虐ネタを聞くたびにいつも居心地の悪さを覚えていた。

『Sorcerer's Apprentice』では、人間の心の複雑さについて疑いを持ったままにならないようにした。
私はこの本は、悲惨について書いたもの、痛みと歓喜と涙についての本、そしてなによりも素晴らしくて、クレイジーな男への私の深い愛と彼の私への愛についての本だと言っておこう。

(この後、カルト研究者、Eric Hofferの引用。飼い猫とのエピソードは割愛します)

いよいよ付録を除いて最後になりますが、カルロスって『クヒオ大佐』に似てると思いませんか?さだめしエイミーは、松雪泰子ですか?

2017年3月15日水曜日

Amy(81) 2007年版に寄せて(1/2)

愛する人が亡くなり、友人たちが姿を消してもう9年が経つが、まるで昨日のことのように思えるし、あれは別の人生だったようにも思える。

特にフロリンダが恋しい。カルロスの病気の末期、魔女たちは私の家に来てくつろいで屋敷の生活のプレッシャーから逃れようとしていた。

フロリンダとはいつも映画ばかり見ていた。

だから、その後何年かは映画を見ることができなかった。どの映画館にいっても彼女がいる気がした。今でもよく訪れた場所にいくと気分が沈んでしまうことがある。
昔の”ファミリー”にばったり会うような気がしてしまうのだ。
だから、私はロスの中だがLos Felizに引っ越しをした。ここはカルトのメンバーは誰も来たことがないはずだ。

 

母が亡くなる頃、彼女がくれた宝石を、さようならの手紙をそえてメンバーにあげたことがある。一人は私の手紙を誤解して、「これでまた友達になれるわね!」と電話でいった。友達にはなれなかった。私は敵なのだ。

私の友人の一人は、外部メンバーだがワークショップに参加したことがあった。
彼女が残った中心メンバーにばったり会ったことがあるそうだ。

最近、会わないけどEllisはどうしてる?」といったら彼女は嫌そうに顔をしかめたそうだ。これだけ長い間、呪術の修行をしていて彼女はまだカルロスが教えていた「白紙の慈愛を与える小切手」(the blank check of affection)を切れ(発行でき)ないのだろうか?(私の個人的な感情とは別に、あなたを愛することができる能力)

それと彼がいつも言っていたように人を裁くなということも。たしかに私たちは言葉よりそれらを実際に学んでいる。

カルトを去ったものは誰もが安堵の気持ちと失った年月に対する後悔をしている。私はいまだにこの両者にさいなまれている。夢を見続けている。カルロスと愛し合っている夢を見る。彼にみんなの前でののしられる夢をみる。どれもとてもリアルだ。

私の意識の深い部分はまだ治っていない、おそらくこれからも。

『Sorcerer's Apprentice』が出版され、賞賛を受けた。L.A.タイムズのベストセラー作家になった。私は数えきれないほどのドキュメンタリーに出演した。アメリカの作品からロンドンのBBCの作品に至るまで。イタリアの映画製作会社の手になるものはいま進行中だ。それはカルロスとフェデリコ・フェリーニやマルチェロ・マストロヤンニの関係に関するものだ。

読者たちから自殺を思いとどまったとかパートナーや家族との関係がもとにもどったとか感謝の手紙をもらった。彼らはカルトと縁を切る勇気をもてたという読者もいた。

悪意に満ちた手紙ももらった。殺すと脅されたり、カルロスがまだ生きているので会わせてやるといった気が狂った人間からも届いた。

Haines Elyのラジオ番組「The Mystery Hour」への出演は記憶に新しい。Hainesはカルロスとは会ったことがないがフロリンダとTaishaを知っていて、二人となんどもキャンプなどにでかけたことがあるそうだ。

私は調査は進めていないが、そこで信憑性のある話としてドン・ファンのモデルの可能性のある人物のことを彼から聞いた。

このキャスターとラジオ番組に関しては検索しても情報がありませんでした。同名のテレビ番組がありましたが、別のもののようです。


2017年3月14日火曜日

Amy(80) エピローグ(3/3)

私は彼らが話しためちゃくちゃなエピソードを信じた――といっても有名人のよくある軽薄なゴシップではない――二人の出会いは20世紀が生んだ類まれな人物たちのものなのだ。

私がなぜこのようにびっくりするのかわかった。カルロスが私に話してくれた面白い話はもう聞けないが、でもいまもまだカルロスの教えが私の体の中に残っているということだ。

信仰をなくしたカトリックがいまも十字を切るような、禁煙をしたスモーカーが、口寂しさにつまようじを噛むように、私の中にはまるでパブロフの犬の反応のようにカルロスの教えが残っているのだ。

信頼や信仰が失われていても、かつて信じていたものはまるで要塞ようで一晩の嵐程度では崩すことができないのだ。ひとつひとつ崩していくしかないのだ。

私見だが、カルロス・カスタネダは世界に、これまで書かれたもっとも素晴らしい本のひとつをもたらしたと思う。

今日に至るまで私は『イクストランへの旅』が一番好きな本だ。そこに描かれた美を多くの読者たちと同じように受け止めている。

すべてのカルロスの愛読者に伝えたい。あなたこそがマジックなのだ。

カルロスの最後の言葉のひとつは「素晴らしい一日を!アライグマになって、おいしくて貴重な人生の最後の瞬間までむさぼるんだ!

彼は、おなじみの陰気なマントラを唱えなくなった。「私は恐れにつきうごかされている(I am drive by frea)」そのかわり毎日のすばらしさを訴えるようになった。
無限を知ることで彼は暗闇の中に光をみつけたのだと思う。

私はいまも魔法を信じているが、その定義は変わった。
私の父は驚くべき超常現象を体験している。私もテレパシーと心霊治療を体験した。
だが今は、書くこと、そして愛することが人生の秘密なのだとわかった。友情も貴重だ。
カルロスとちがって、私は友人たちのマジックを楽しむために一緒に寝たりする必要はない。

そしてLord Alfred Douglasの詩のように、「Under the common thing, the hidden grace」「あたりまえのことの中に不思議がある」のだ。

それと愛すること。

今日まで私は邪悪さというものを理解できない。だからグループから浮いていたのも当然だ。私は、彼らが信じるものの根幹を拒否していたのだ。私は愚かなほどロマンティストだった。だからカルロスの嘘や虚勢の下にある彼を信じていたのだ。

もしも私がめまいがするほどの高みにつけたら、彼に駆け寄って尋ねるだろう。私がこんな自由を手に入れると思っていた?私が彼を乗り越えてたどり着いたと思う?
きっと恋人のような言い合いをするだろう。

ここはエキサイティングだろ?ここは特別な場所なんだ。ここはみんなのためのところだ。夢を見るみんなのためのね


混沌から
 アートが生まれる
混沌から
 歌が作られる

 ―Michael Hartnett, Tao


(はじまり)

この後、『付録』に入りますが、フォロワーズの話の中に出てくるパンドラ邸に暮らしていたハンディキャップのある女性とは誰だったのでしょうか?この本では判明しませんでした。
ブルースカウトやタイシャ・エイブラーならフォロワーズたちは、そうした呼称を使うはずですから別の人物のハズです。

2017年3月13日月曜日

Amy(79) エピローグ(2/3)

このエピローグでは、フロリンダが愛人だったフェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)のインタビューの紹介があります。
このインタビューは、Toni Marianiプロデュース、A.F. BiermanがBright Lights Film Journal用に翻訳したものだとあります。

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はじめ彼の出版社をつうじてカルロスを紹介してもらおうと思った。
出版社はカルロスのエージェントの住所を教えてくれた。ニューヨークにいるNed Brownだ。Brownならカルロスの住所を知っているだろうとのことだった。
年に一度、メキシコ人の少年が原稿を届けに来るのだそうだ。Ned Brownは一度もカスタネダにあったことがないのだそうだ。
それでもあきらめなかった。カスタネダは、精神を病んで保護施設に収容されているとも、死亡したとも教えられた。他の人間は彼に会ったと言った。彼の講演会に出席したが元気だったと。そしてローマでMrs. Ioghiに会った。彼女がようやくつないでくれてカスタネダに会えた。

カスタネダの人柄は、みなさんが思われているものときわめて違っている。彼はシチリア人のようだ――人懐っこくて、のんきで、ニコニコしているシチリア人のようだ。肌は褐色で黒い目、笑うと白い歯がきれいだ。
ラテン、地中海の香りがする。彼はメキシコ人ではなくペルー人だ。

この好ましい人物は私の映画は全部観ている。ドン・ファンと一緒に30年か40年前に私の『道』(La Strada)を見たといっていた。1952年の作品だ。ドン・ファンが彼に言ったそうだ。
「おまえはこの映画監督に会うべきだ」ドン・ファンが私たちの出会いを予言していたのだと彼は言っていた。
彼は、私に会いに来て、そう、そこだ、そこに座っていたんだよ。

私を特に魅了したことだが――イタリア人、地中海育ち、カトリックの教育を受けた私が――カスタネダとドン・ファンの世界に対する見方だ。なにか非人間的なものがそこにある。特にドン・ファンだ、同じ年寄りとして文字通り魅力的に思った。
まるでクォーツで動かされている世界を観ている気がする。はたまた緑色のトカゲだ!」
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フェリーニは続ける。
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ドン・ファンの世界には慰めというものがない。ほかのどのような書物にもない・・・・それが恐ろしくもあり、また私を魅了するのだ。だが、その世界の中はとても息苦しい・・・・おそらく狂気がこのような、アストラル、氷のような、沈黙の世界を想起させているからなのだ。
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私がフェリーニから聞いている二人のの出会いの印象は(上記のインタビュー内容とは)まったく異なる。

出来事と不可思議なことがいきなり起こった。彼が僕のホテルに来た時、女の人たちをつれてきた。その後、二度と会わなかったけど、その後、部屋の中で不思議なメッセージをみつけた、それといろんなものの場所が変わっていたんだ。あれは黒魔術だよ。
彼が連れてきた女性たちと、カスタネダは一緒じゃない、一緒にTulin(トリノ)にでかけたんだが同じことが起きたんだ。

あれは1986年のことだった。あれから何年も経つがいまだに何がおきたのかわからない。カスタネダはもしかすると私が映画を作ることに賛同していなかったのであのような現象を起こして気持ちをくじいいたのかもしれない。あるいは彼の仲間たちが映画製作に乗りきでなかったのでやったのかもしれない。
とにかく不思議だった。結局、映画はあきらめたよ

私がなにに驚いたか?

結局わかったのはカルロスは誰もが彼のことを大の嘘つきだって言っていたことだ。たとえば、Douglas Price Williams、彼の大学のフェロー教授が言っていた。

UCLA時代、カルロスが”今日はよく晴れてますね”って言ったので外を見にいったら雨降りだったんだ。ま、それくらい大ウソつきだってことだ

とはいえ、私はカルロスとフロリンダ、フェリーニとの付き合いの話では驚かされた。

2017年3月12日日曜日

Amy(78) エピローグ(1/3)

その後、精神と体調が不良になり生活が荒廃し、セラピストの世話になった。

グルは、弟子をいじめるそうだ。
禅僧は弟子を木の棒でたたくし、Synanonの悪名高いゲームやWerner Erhardtは言葉で攻め眠らせない、Gurdjieffは弟子を精神的・肉体的に壊した。

実は、やはり70年代の話ですが、あたしのルームメイトがErhardtのESTにハマりまして人が変わってしまいました。
何回か遠いカリフォルニアまで飛行機代を払って週末セミナーに参加していました。
それまでめちゃくちゃ愉快な男だったのが、ガラっとね。
この会のお茶会に誘われましたが、一人、中国哲学というかt'aichiの論客が一緒にいましてこてんぱんに論破したおかげで、以降誘われなくなりました。

母が二度目の発作を起こすと私のPTSDは悪化した。
BillとJeannieの二人の友達が私の世話をしてくれたのでこの本の執筆を続けることができた。

この本を書くことで生き続けることができたし、出版すること自体が望みになった。
Billが中身をチェックしてくれた。
Billは、カルロスの本のファンで、カスタネダの初期の教師であったNaranjoとIchazoについても研究をしていた。

Claudio Naranjoは、チリ出身の心理学者だそうです。Oscar Ichazoは、ボリビア生まれのやはり心理学者。あいにくあたしは不案内でして、参考までにウィキなどサイトへのリンクを張っておきます。
The Enneagram …info from the underground

Billが言った。
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カルロスのメソッドは、自由をもたらすはずだ。だが、ヒエラルキーの中で承認を得ないと力がもてないのであれば、もたらされるものは自由ではなく、その中から追い出されることに対する恐怖が生じる。自我はより強い力で打ちのめされ、そのまた結果が恐怖につながる。リーダー以外のものはだれも完璧になれないのだ。仕組みがそれを許さないようになっているのだ。
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彼の指摘は正しい。

リーダーはむずかしい質問をされると「あなたはまだ答えに対する準備ができていない。いつか。たぶん」と言われるだけだ。

民間療法の受け答えに似てますね。悪化すれば、一時的な瞑眩(めんけん)反応だというし、良くなれば、このまま続けてくださいと言います。

続いてAmyによるカルロスの評価。母との関係修復への感謝など、いい話がありますがが省略します。

Tony Karamは、ドン・ファンは実在しないと結論付けたが、カスタネダの作品は評価している。

2017年3月11日土曜日

Amy(77) 46 内部爆発 /47 呪術的愛の力?

いよいよ本編はラストでして、本日も二章まとめて片付けてしまいます。続く、エピローグと「付録」部分については(相変わらずつたないですが)全訳を掲載します。

■46 内部爆発

カルロスが亡くなって数か月後、残った弟子たちでパーティーを開いた。
酔ったFifiと奇妙な和解があった。これが彼女をみた最後だった。

Guidoは間柄を修復しようとメールをくれたが、希望を持つことは危険だ。

この本の執筆時に母が心臓発作を起こしたこともあり呪術仲間とも疎遠になった。
個人的には長年のストレスの結果、ひどいPTSDに悩まされるようになっていた。

Guidoが、自分の芝居に招待してくれた。劇場関係者以外で唯一の招待者だといった。彼なりのお詫びの仕方だったのかもしれない。

Fifiがオープニングパーティにいた。芝居の世界に入っていたという。
希望は危険だ。

Fifiが私の薬を盗んでいたことがわかった。プロザックを告げ口したのも彼女だったのだ。彼女をパーティーの外に連れ出してなじった。

GuidoともFifiとも二度と会わなかった。

■47 呪術的愛の力?

Taishaは、19歳の時に取り込まれた。彼女は自分の幻想的な体験を実際に起きたことと信じていたように思えた。フロリンダは逆にカスタネダの伝説は比喩であってそれ以上のものではないと思っていたように思える。

Muniは複雑だ。ある日は自分が本当に別の世界にいたと信じているようだったが翌日には普通の生活をしていたと認めたりした。

カルロスは、私が15歳のときに私の処女を奪った話を作ってみなの前で話すようにいった。

2017年3月10日金曜日

Amy(76) 44 コーク vs. ペプシ/45 空虚のヒエラルキー

■44 コーク vs. ペプシ

家にあるTaishaとFlorindaの思い出をすてはじめた。
冷蔵庫からはじめた。フロリンダの買い置きのコーラを捨てた。

Muniとの喧嘩をしたが、仲直りしてから彼女がGuidoとの関係を告白した。

Tony Karamのカスタネダ評に関するエピソードを割愛します。

MuniはGuidoのほかにJoeyともつきあっていた。(日曜クラスのメンバーでFifiの19歳のボーイフレンドだった)

Muniは自分のことをカルロスがどういっていたか聞きたがった。

Muniが書いた”Tales of Energy”という本をすごく褒めていた(が出版はさせなかった)ということを伝えたら、彼女は、そんな本はないのよと言った。

カルロスの死後、、いなくなった魔女たちの消息についてMuniの心はころころ変わった。本当に死んだのか?生きているのか?

Muniが第二の注意力にいたといわれた時期、彼女は実はカリフォルニアにいたのだ。

Soniaの父は末期がんで彼女とコンタクトしたがっていたが、ついにクリアグリーンから回答はなくこの世をさってしまった。
彼女の兄弟と母は資金をため彼女を探し続けた。

私もそろそろ手を引く時がきた。疲れた。

■45 空虚のヒエラルキー

この章は、Muniとの最後の日々、喧嘩しては仲直りしというエピソードや自分たちがカルロスのPimpだったこと、フロリンダの思い出などが記されいますが、割愛します。

2017年3月9日木曜日

Amy(75) 43 亡命者のクリスマス

Guidoにドライブに誘われた。
抱き合って震えた。

日曜クラスの古い馴染みのHarryから連絡があった。

Jim Gruber(日曜クラスで嫌われていた)が彼に電話をかけてきたので、これまで話したかったのに連絡しなかったのだといった。
カルロスは、彼を裏切りそうな連中にめぼしをつけていて、Jimに命じて、Ellisには連絡をするなと言われていたのだと言った。
(Ellisとコンタクトすると自殺させられるという嘘をついていた)

Harryから、何がおきているのだ?と聞かれた。

カルロスが自分についていっていた嘘がショックだった。
私は、Rebeccaが死んだと聞いたがと今度はHarryに尋ねた。Rebeccaは売春婦でボーイフレンドのRogerが彼女を殺したと聞いたのだが・・・。

Harryが、彼女はカルロスに屋敷で軟禁されていたがRogerに助けられて隠れていて元気だと教えてくれた。

Haryyにカルロスの死を教えた。魔女たちが自殺したことも伝えた。

マーガレットとC.J.のことを伝えた。C.J.が雇った弁護士が不適格で訴訟に負けたのだ。
だがこの訴訟のせいで3か月後、カルロスの死を公表することになった。

母と兄夫婦は私がいまだにカルロスと交際があることを知らなかったので連絡をしてきてお悔やみを言った。

クリアグリーンには問い合わせが殺到したので電話をとめてしまった。

だが、最終的にカルロスのゴミをあさってテープに盗撮していたカップルがCulver City Moretuaryに問い合わせてカルロス死因がガンで内なる炎できえたのではなく普通に死んだということが世間に知られてしまった。

この後、Guidoに失望した事件と彼との別れについて書かれていますが、省略します。

Richard Jenningsに電話をした。魔女たちから譲り受けた宝石を見せた。
彼は、普通の人間として一緒にに泣いてくれた。

2017年3月8日水曜日

Amy(74) 42 彼が去った(3/3)

その後、Mjniと私は鎮静剤を必要としていた。
Muniは頭が変になりかけていた。

その週、ロス警察がDeath ValleyでClaudeの車を発見した。車の中の書類でクリアグリーンのSimonの事務所が割り出された。噂はすぐに広まった。
SimonはClaudeを探しにDeath Valleyに行ったが空手で戻った。

何週間か経ってからMuniから聞いた話はこうだ。

ClaudeはDeath ValleyのモーテルにいてMuniに電話をよこした。Muniが駆け付けると、自殺をしようとしたScout(Claude)が血だらけで部屋にいた。Muniの足にしがみついて「無駄だった。すべて間違いだった」って言ったそうだ。
私(Muni)は山ほどお金をもっていったの。山ほど。それでアイルランドに行って印刷業を始めればいいじゃないといったわ。そこで新しい人生をこのお金でスタートすればって

この話が本当かどうかはわからない。ただMuniの冷たさはDSMIII(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、精神障害の評価基準だそうです)の類だと思った。はたまた単にもともと嫌いあっていた仲だからかもしれない。

Claudeは、突然アパートからいなくなった。Ridley、Simon、Muniをおいて。
いろいろなものをみんなに分配していった。

おそらくMuniが嘘をついていると思うが、Claudeは私にもアンティーク時計を置いて行ったという。わたしも喜んでいるふりをした。

これに続いて、Guidoを慰めるエピソード、みんなの性的関係について。
Muniの新しい若い恋人に嫉妬するGuido。
CarlosにFlorindaとスリーサムを誘われたが断った話、などなどありますが割愛します。性関係への言及がとにかく多いですね。

カルロスの最期の日々に、フロリンダがイナーサークルのメンバーに”ベスト・オブ・カスタネーダ”という彼の語録を集めさせた。この本が死後発行され、私の一番気に入っている言葉が引用されていた。(これは『時の輪』のことかも?)

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自己否定は耽溺である。否定することに耽溺することは最悪のことだ。まるで自分たちが偉大なことをしているような気にさせるからだ。そんなことをしても私たちが私たちの中にとどまっているだけなのに
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私は、彼は彼を恐れる信者たちに君臨する暴君として死んでいったが、この言葉で彼が真正の探究者であり本当の哲学者であると信じる。

病気が彼の力を奪っていってしまった。しかし、なにものも彼の初期の作品の真摯さと美しさを損なうことはないと信じる。

あたしも彼女と同感です

最初のころ、Muniがカルロスの読者は私たち、カルロスのそばにいる人間よりも幸せだといっていた意味がようやくわかった。

「従者に英雄なし」ってやつです。
あたしも勤め先が好きでしたが、入る前の方がもっともっと大好きでした。

2017年3月7日火曜日

Amy(73) 42 彼が去った(2/3)

次にRidleyが電話してきた。泣いている。

奇妙なファンタジーを話した。

屋敷から帰ってきたところ。Fifiがツアーをしてくれた。すべての部屋の。Taishaは燃える前にすべての宝石を身に着けてエネルギーを蓄えてフロリンダと燃えたんだ。はじめにナワールがClaudeと一緒に燃えた。そして・・・

彼が声を詰まらせた「そしてAstridがSoniaと燃えた。彼らが燃えた部屋を全部見せてくれたんだ

その話を聞いて、彼は、おとぎ話がすきかもしれないが、彼らはこんな少年に何を教えたいのだろうと思った。

カルロスがむかしコウモリ退治のときに電話で話したことを思い出した。
きみだけがメタファーを理解できる

Ridelyはこの話を真に受けているようだ。私だって信じたい。

初期のころMuniにたずねたことを思い出した。

第二の注意力にいた10年は自由だったの?そんな魔法の中にいたのにあまりうれしそうじゃないから」
「地獄だったわ
「地獄!
「友達といっしょにいられないのは地獄よ

地獄は、放逐、鍼灸学校、結婚そして離婚だったわけだ。
彼女はカスタネダの魔法の妻、女ナワールから普通の人間に戻った。

Guidoの電話はもっと現実的だった。
もうたくさんだ。秘密などたくさんだ。嘘ももういやだ。すべて済んだんだ!

この言葉には本当にホッとした。彼は強い。
でも私は叫べず「そうね」としかいえなかった。

Daphneも電話をよこした。彼女はカルロスの死の前に許された。気の毒なのは死ぬ直前に見限られてそのままになった人たちだ。

第十七捕虜収容所
Muniがカルロスが昏睡状態になる前の言葉を教えてくれた。

ビデオを見たいというので『Stalag 17(第十七捕虜収容所)』をかけた。
カルロスは部屋を見回して「このくだらないfu○kingビデオを持ってきたas○holeは誰だ?」と、泣きながら話した。

Muniがムードを変えるためになんでも思うことをエッセイを書いてビンにいれて庭に埋めて一週間後に掘り起こして読み直そうといった。
その通りにした。

一週間後Muniが私に何を書いたの?とたずねたので答えた。

あれはfu○king カルトだったって書いたわ
Oh...」Muniが黙った。

2017年3月6日月曜日

Amy(72) 42 彼が去った(1/3)

電話連絡がつかなくなった日、ロスで1日セミナーが予定されていた。

そこでMuniが平板な口調で挨拶をした。

ビッグ・フロリンダが私たちの面倒をみるためにいます」と言ったとき聴衆はなにかがおかしいと感じた。

Astridのハグもいつもより強かった。
MuniにSimonのことを頼むといわれた。
Simonは、ナワールのスイートを破壊したと絶望的な口調で言った。

私には執筆が残っている。Guidoにも本と映画があった。ほかの人間にはクリアグリーンがあった。Simonが愛するフロリンダは彼をおいていってしまった。
フロリンダは、彼(Simon)とカルロスの二人とヴェガスで結婚していたのだ。

セミナーの後、Muniが電話をかけてきた。

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彼はいってしまった。彼はClaudeと去った。彼らは二人ずつでいなくなった。FloとTaisha。AstridとSonia。渡したいものがあるから後で寄るわ。そのまえにDaphneとAliceに伝えることがあるの。疲れた・・・明日にするかも。誰にも言わないで。
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それを聞いて、嵐の中でしびれたような感覚。そして彼が苦しみから解放されたという安堵感。

Patsy、凍てついたほほえみ。Simonも(彼の死を)知っていたのに教えてくれなかった。Guidoは、私の姿がセクシーでホットだと言った。Ramonは私が知っていると思い込んでいる。Astridはうその笑いをしているマスクをつけているようだ。
Dexterは真っ白いほほえみ。

Taishaの最後の言葉が思い浮かんだ。「窓がある、あなたを待っている

カルロスの最後の言葉、たしか三週間前だった。二週間前だったか。フロリンダに私を呼ばせた。琥珀のネックレスを私に押しつけた。カルロスから二つ目の琥珀のネックレスの贈り物だ。より古くて魔術的に見えた。

それはとても強力なものだ。体がよくなったら詳しく話すよ。きみは戦士(fighter。warriorじゃないのが気にかかる)だ。今日は素晴らしい日だ。君は本当に強い。本物だ。愛している

Guidoが電話をしてきた。ふざけて「Blak Nike タイムかな?
別のカルト事件(ヘヴンズ・ゲートの集団自殺)をちゃかしている。

2017年3月5日日曜日

Amy(71) 41 Taishaの別れ

カルロスが死ぬ前の何週間かTaishaと私はまるで予兆のようになんどもいろいろな場所で遭遇した。

カルロスのためにMuniが借りた戦争ビデオを店に返しに行ったとき、隣のコーヒーショップにいたTaishaとあった。

Taishaが涙を浮かべて話した。ナワールはこんな死に方をするはずがない。これはカルロスがおかした罪のせいだといった。

Taishaが銀行口座と私書箱を閉鎖するといったのでつきあった。
翌日、映画にいく約束をして、出会った。車の中でTaishaが爆発した。

Ellis、彼らはカルロスのお金を盗ろうとしているの!あのビッチのSoniaよ、あのcnt。あいつは商人よ。商人!!大嫌い!!自分のことだけ考えている。最低のFu○king bich。彼のお金なの!彼が良くなったときのために守ろうと思っているのに。彼らは全部取り上げるつもりよ。Bob Jones(クリアグリーンの会計士)に管理を任せずに、彼の弁護士に任せるつもりなの。誰かがナワールに教えなくちゃ

フロリンダに電話をさせた。彼女がお金はEagle's Trustに入るから安全だといってTaishaを安心させた。

車のダッシュボードに泣き崩れた。彼女が、こんな汚い言葉を使ったのを聞いたことがない。あのフロリンダでさえfu○kは言わなかった。

ここ数週間、カルロスの記録や税務書類を家の暖炉で二人で燃やしていた。
書類には「ドン・ファンとのミーティングのため飛行機代:473.82ドル」とか「ドン・ヘナロと洞窟へ:12ドル」とかあった。

彼女は、作業中、ずっとアルコールを飲んでいた。
わたしアル中にならないわよね?でもいいよね。どのみちいなくなるんだし」と言った。

映画に行くのをやめて食事中。Taishaが鞄から指輪とイヤリングを取り出した。
私は泣き出した。

二日後、Taishaが電話をよこした。
私に愛していると感謝の言葉をいったあと、ひとつだけお願いがあると言った。

明日の3時30分に電話がほしいの。
ホームセンターで「窓」をうけとってきてほしいの。窓のこと。これが最後のお願い

翌日、3時30分に電話をした。彼女の二本の電話はつながらなかった。心配になってフロリンダに電話したが彼女の電話も二本ともつながらなかった。
携帯電話は接続範囲外になっていた。

カルロスに連絡を入れた。電話はつながらなかった。
Muniに電話を入れた。なんどもなんどもなんども。彼女の電話は話中の音がした。

2017年3月4日土曜日

『ブルース~複製時代のフォークロア~』(2)

タイトルの本について、しつこいですが、もう一稿アップしておこうと思いまして。

ブルースの歌詞が、込み入った三角関係、ないし四角関係(本人と関係がこじれてしまった恋人、その新しい相手、そして本人の新しい相手)を扱うものが多いという話があります。(P131)
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彼らの相互の関係は、複雑なだけでなく、前の恋人の介入に典型的に見られるごとく、流動的である。
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著者の文体は、大げさで学術的な言い回しをしようとするあまり不必要に難解な感じを受けます。翻訳しますと、
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彼らの関係は込み入っていて、現在の相手に裏切られた腹いせにいったん別れた恋人とよりを戻したりする。
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こうした内容はポピュラー・ソングの歌詞にはあまり見られないとして、こう分析しています。
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そうした(込み入った)関係があまり現れないのは、その恋愛のモデルが10代の恋愛にあって、しかもその恋愛の延長(ゴール)に結婚を想定したイデオロギーが内包されているからではあるまいか。
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恋愛が成就する=結婚する(ずっと一緒に幸せに暮らす)というシンプルでおめでたい発想はブルースの世界にはないということですね。続いて、こうあります。
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(ブルースの)恋唄は、性愛と金銭への言及を喪失するとともに、恋愛という複雑な(緊張関係をともなう)人間の関係をドラマ化する手立てを幾分か失ってしまったのであろう。
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これは私見ですが、恋愛のゴールを結婚ではなく「別れ」とした方がグっと深みが増しますな。恋愛の延長上に結婚をおいた場合、その先に待ち受ける日常というものが待ち構えているわけですから離別の方が「思い出」としての恋愛が記憶に残りますので恋愛の一つのゴールは離別かもしれません。

ブルースがそれのさらに上手を行っている凄みは、結婚した先の日常の中から新たな恋愛やトラブルまで含めて歌にしているところでして。今、あたしが述べたようなロマンチックな思い出に浸っているヒマなどありません。
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ブルースの恋人たちは、何よりもまず大人であり、彼らの間では結婚と恋愛を結びつけるイデオロギーもまた希薄である。(中略)ブルースの<喩の恋人>たちの唄には大胆な性愛と笑いの表現があり、<概念の恋人>たちの唄には関係に対する繊細なまなざしがあるのだが、これらのどの唄にも生活の臭いなるものがとうしようもなくたち込めている。
日常性にどっぷりつかっていながら、これを超越しようとする唄、これがブルースの恋唄である。(P132)
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2017年3月3日金曜日

カルロスのテープレコーダー

少し前の投稿で、カルロスがネイティブ・アメリカンたちの会話をテープレコーダーに録音している状況について書いたことがあります。

分離したリアリティ ~序文~
消えゆく伝統(分離4 ひとりひとりの道(2))
旅1 わたしたちを囲む世界からの再確認

当時の家電の普及やカルロスが裕福でない時期に簡単に手に入るものだったのだろうか?
また、ドン・ファンとの微に入り細に入り記録している会話は、実はノートに記録しているのではなく本当はテープ起こしをしたのではないだろうか?
というあたしの推理のよすがにしたわけです。

今回、『ブルース~複製時代のフォークロア~』(湯川新著)にあたしの疑問に対する答えがあったので記録しておきます。

ロックンロールの生みの親、チャック・ベリーについて書かれた第7章です。
比較的裕福で幸せな家庭に生まれ育ったチャックは、1951年の夏に中古のテープレコーダーを手に入れた、とあります。

テープに言及したカルロスの文章では『分離したリアリティ ~序文~』が一番古い時代のもので、呪術師サカテカを訪問したときのエピソードで1962年の5月とあります。

そういえば、いまさら思い出しましたが、あたし自身というかあたしの家でも東京オリンピックの年、1964年にテープレコーダーを買ったことを思い出しました。

チャック・ベリーが中古品を買った11年後ですから、カルロスは間違いなく自腹で民生用のテープレコーダーを手に入れることができたことが判明したと思います。

2017年3月2日木曜日

Amy(70) 40 ハミングバードの別れ(2/2)

フロリンダがCloisonne jar(七宝焼きのツボ)をくれた。ドン・ファンのパートナーのビッグ・フロリンダが持っていたものだそうだ。

フロリンダは、陶器の器を作っていた。

これにナワール・Lujan(フリアン)がつけていたイヤリングをしまうそうだ。
Lujanは中国からテンセグリティの伝統を伝えた人だそうだ。

フロリンダが大きなカウベルに似たアメジストのペンダントをくれたが、FifiやClaudeがみたら嫉妬するから身に着けるなと言われた。

フロリンダ。あなたは行こうとしているのね?私には一緒に行こうといってくれないの!
”行くこと”は誘うものじゃないの。それは自然に起こるのよ
うそ。あなたはSimonを誘ったじゃない

彼女は私の発言を無視して言った。

どうしてあなたにこのアミュレットをあげると思うの?私たちがいつまでもつながっていられるようによ。それに、私はこれを誰が作ったか知ってるから

彼女が去ってから私はよくこのペンダントを眺める。

カルロスの伝説とうらはらに彼の父親がペルーの宝石商だということを私は知っている。彼は25歳まで故郷にいたのだ。

彼はこれを彼のお気に入りのハミングバードのために作ったのだろうか?
私は、服の下にしまい込んだ。フロリンダを私の心臓のそばにおいておくことにした。

私がフロリンダを最後にみたのはいつだろう?この日の翌日?
それとも二日後だったか?

いつものように彼女と激しい運動のあと、セックスについて話し合った。
大声でNew Yorkerを読み聞かせて、彼女に少しスモークサーモンを食べさせた。

私の最後の記憶はいつものようにパティオの門にいた彼女だ。

彼女はいかにもドイツ系らしくいつも落ち葉をきれいに掃除するように言っていた。
キスをかわしてさようならを言って。

これまで一度もしなかったのに振り返った。ハミングバードのように静止していた。
光る眼が記憶に残っている。

2017年3月1日水曜日

Amy(69) 40 ハミングバードの別れ(1/2)

Simonがフロリンダから仲間に入るようにいわれた。

彼は食事の誘い程度に考えたていたようだがAmyは怖かった。
結局、この話は立ち消えになった。

MuniがSimonにフロリンダ、Taisha、AstridとSoniaが銃を手に入れたと言った。

Astridはみんなの前で彼らは自殺をすると言っていたから(本気なのかもしれない)
フロリンダは、(この自殺の連鎖を)Trigger Effectという言い方をしていた。

Simonは自殺するなんて信じられないといった。

男性陣は、カルロスが思いついた家の修繕などをしていた。

フロリンダはストレスで生理が止まっていた。

カルロスのかかりつけ医者のAngelicaがくれた薬が効かないので、おなかに貼ったエストロゲンパッチを見せてくれた。

テンセグリティは閉経を防ぐといっていたのに・・・。

フロリンダのトーテムは、カエルとハミングバードだった。

カルロスに言われてアボカドを壁のそばに植えろと言われたが、彼が言っている壁がどこにあるのかわからなかった。

フロリンダは、カルロスがいつ死んでもおかしくないといった。
メキシコでThe Death Defierか悪いウィルスに罹ったのでは?と言っていた。

当時、わたしは二冊目の小説にかかっていた。

こんな生活を続けている中、ちゃんと執筆活動のような日常があることが不思議です。

フロリンダの洗練された文学的センスを信じていたので彼女に評価してほしかった。

以前、フロリンダの『魔女の夢』の作品としてのレベルの高さ。Amyが発見した、カスタネダの英語能力の低さ、出版社のゴーストライターの存在。そしてカルロスの最期の著書『無限の本質』と『魔女の夢』の構成がそっくりなことからもしかして『無限の本質』もフロリンダが著したのでは?なんて空想を書いたことがあります。

やはりAmyもフロリンダの文学的能力を評価していたことで、あたしは自分の邪推がさらに強まったように思います。