2016年8月4日木曜日

シンゴジラ ★★★+0.5+☆

観に行こうと思っていた日に、ふと魔がさしてFacebookみたら、ハチ公が何か一人前の感想をアップしていたのですっかり行く気が萎えてしまいました。

いえね。別にネタバレがあったわけじゃないんですが、ハチ公が語るとあたしゃいっきに萎えるですよ。

ちょうど、中学生くらいの時に父親が人の聴いている音楽や読んでいる漫画をちら見して「ほほぅ。バンプオブチキンか?」とか「進撃の巨人かぁ」と言われるといきなり萎えるってやつです。

特にハチ公は、なんでも流行りのものはひとこと口を出しますな。自転車も乗ってるし(笑)
「ポケモン」についても何かはしゃいでいましたし、TwitterもFacebookもいい歳して出だしからくらいついていました。
Facebookはいまでもですが。するってえといきなりあたしは野暮に思っちゃうんですよ。だから今だにFacebookは使わない。

とはいえ、怪獣はあたしの必修科目なので白けた気分を押し殺して映画館に行きました。

あ、そうそう。ハチ公に加えて、いまひとつ気が乗らないのが監督だったんです。

昔テレビでエヴァンゲリオンのオンエアをみてたとき、ちょっとSFのネタが・・・なぜか見てる自分が恥ずかしくなっちゃって。(でも、映画館にも足を運びましたよ)
たぶん、あたしが中学校ぐらいの時に夢想したSFの設定とかを想起させるんでこっぱずかしく感じちゃうんでしょうね。特に「使徒」・・・とかね。こっぱずかしくて身もだえしちゃう。

ま、ところが今回は監督のSF扱いについては映画のSF設定として素直な感じで、さほど恥ずかしくなりませんでした。ごめんなさい、先入観で疑って。

ゴジラの生態なども、ほどほどの疑似科学に仕上がっていました。
失踪した謎の科学者があらかじめゴジラのこと知っていてヒント残しているってのがいただけませんでしたが、ハリウッド前作の渡辺謙の芹沢博士よりはマシかなぁ~。
そのような発見をわざわざダイイングメッセージとして暗号化してみんなを困らせるような動機付けがそもそも東野圭吾。

よくあるパターンで土地の伝説に怪物の退治方法があらかじめ残ってるってやつの類です。
これからは禁止ということで。

昨日、組閣が決まってちょうど女性の防衛大臣だったり都知事選挙の後だったりで映画の人々とリアルがマッチしていい感じでタイムリーでしたよね。

それと役所の本社の連中の働きっぷりが本物の連中とそっくりでリアルでした。
あたしも一緒に徹夜したことがありますが彼ら本当によく働きますからね。働きすぎでしょ。

アメリカの大統領に万が一があると次から次へと大統領の変わりが立つ仕組みになっていて冷戦のころの代理遂行の想定演習のドキュメンタリーが例の”This American Life”(”Amateur Hour”の回)で流れて感心したことがあります。

それと同じ日本の総理大臣の代理システムが扱われていて細かいところに凝ってるなと思いました。ま、この監督さんディテールから入る感じですよね。

映画で一番良かったところはエンディングのスタッフロールに入ったときの音楽とラスト。この数分は席に居残っちゃいました。ラドンのテーマもサービスで?入っているのも良かったし。
きっとこのディテールも最初から考えていたんでしょう。

こんなに褒めてる(のか?)のになぜ星が3.5なのか?

ひとつは、終始まじめすぎるかなぁというのがひとつ。
シリアスなアニメに多い、小難しそうで賢そうで教養があるように見えるセリフの数々が薄っぺらい感じ。『サイコパス』がまさにそれでしたよ。

スジに小道具含め伏線系の仕掛けや裏切りがないこと。(『ジュラシックワールド』比)
そのため進行に意外性がなく常に直線的なのです。

官僚・政治家の世界と自衛隊の扱いを面白可笑しく扱っていてよくできているのですが、たぶん子供はつまらないだろうなというのもひとつ。

そして最大のNGが石原さとみ演じるアメリカ人。テルマエロマエの阿部寛ならいざしらず。
主役の男性と恋愛関係を描くわけでもないのだから、キャスティングは「すみれ」の方が良かったのではないでしょうか?

サイコパス』の声優たちの英語とはいいませんが・・・石原さとみが気の毒に思いました。

それと、いまどきあんな態度のキャリアウーマン(死語)いないでしょ。
・・・というか昔からいませんよね。少なくとも優秀な人間では。

あの演出だと、いくら流ちょうな英語が話せるすみれに演じさせても気色悪いでしょうね。
あたしはフェミニストではありませんが、アニメにありがちな女性性が理想化された演出にも思えて苦手です。

そういえば、違うタイプの性格付けですが『あの花』ってアニメは、あなるという女性キャラクターの描き方が気味悪すぎて10分くらいでギブアップしたことを思い出しました。

真のキャリアウーマンと言える実力者に何回か会ったことありますが、一人は、紺のリクルートスーツみたいなの着てて一見、地味なのがかえって不気味でした。態度も別に普通の勤め人だし。

また竹野内豊はじめ主役の男性陣たちの英語も・・・。
流ちょうな英語を話させようとするから無理があるのですよ。
いいんですよ、たどたどしくても。というかそのほうがカッコイイ。

最近、いいなと思ったのは、少し前トルコの空港でテロ(2016年6月29日)があったとき居合わせた日本人の中高年の女性が朴訥な英語で切々と恐怖を語っている英語、粗削りだけどいい英語でした。あたしもあれくらいになりたいものです。(動画を探したのですが見つけられませんでした)

それと、またまたThis American Lifeのプログラムですが。

1990年代に起きたADMという調味料メーカーが犯した闇カルテル事件を扱った番組で、FBIが隠しどりした味の素の幹部社員の電話でのやりとりが素晴らしかった。(一応犯罪者です(笑))

ハワイで密談したい、というADMの幹部に向かって味の素が、「ハワイったって、そこアメリカでしょ?やばくない?」と答えています。
(※味の素側は、アメリカは、談合の取り締まりがめちゃくちゃ厳しいし、囮操作も盗聴操作もできるので第三国で会いたがっている)

電話の声、日本人の固い英語なんですが、味があっていいんですよ、訛り加減が。
・・・味の素だから?

アメリカ人と悪事の相談するくらいなんで相当な現場英語力なんでしょうね。
(『インフォーマント!』というタイトルでマット・デイモン主演で映画化されているそうです)

日本のインターネットの父、村井純さんの英語もいいですよ。←動画へのリンク

観てみました?ネイティブと比べて酷いでしょ?
でも、他人の英語を馬鹿にしている日本ネイティブのそこのあなた。
満場の開場で場当たりでこんな風に発言できますか?
福士蒼汰の英語もいいですよね。ようやく日本人の英語が生まれつつある感じがします。

ADMの陰謀を扱った"This American Life"の番組『The Fix Is In』の回への音源へのリンクも張っておきます
この音源の「14分25秒~18分22秒」あたりを聴いてみてください。味の素のMimotoさんの英語、抜群に現場です。まさかFBIに盗聴されてるとはね。

下は、YouTubeで見つけた同事件についての動画です。味の素の社員との電話の会話音源は聞けませんが談合の会議の様子がちらっと見られます。

FBIのスパイに盗撮されてるのも知らずに「一人はFBIかもよ。わっはっは」なんて言ってておかしすぎます。


『シンゴジラ』の英語の話に戻りますと、そんなペラペラ英語の役柄演出だもんだから、彼らが話している英語は字幕がないと何言ってるんだかまったくわかりませんでした。

数人、ネイティブの役者が出てるのですが彼らが話すといきなり明瞭でくっきりとわかります。
日本人だから日本人の英語の方が聞き取れると思いがちですが実に不思議なものです。
たぶん発音というよりは、リズムと抑揚、単語のアクセント、そして文章の切れ目の違いなのだろうと思います。

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