『秘密の森』第3話には、ファン・シモクの報道番組出演という山場の一つがあります。
被害者の老母が働くサウナに向かう車中でハン・ヨジンがファン・シモクの番組出演の様子をからかうシーンがあります。まだ会って日も経っていない相手の懐に入れる魅力があります。
ダッシュボードに、「がんばりましょう!」と飴を置く場面も、ペ・ドゥナらしい暖かい表情です。追い詰められたファン・シモクに対する彼女の優しさにホロっと来ます。
ハン・ヨジンは、ファン・シモクに尊属殺人(この場合は子殺し)を疑われた老婆を慰めるために一人サウナに残ります。老婆に語り掛けるペ・ドゥナのサウナウェアー姿はとてもキュートです。
『グエムル *1 』や『ほえる犬 *2 』のような貧相なファッションを着るとなんとも可愛いペ・ドゥナが、いったんフル・ファッションになると、まさにこれがモデルだという立ち姿になります。この変化を起こせる女優力は見事です。
批評家の佐々木敦氏は、実際のペ・ドゥナの身長が171cmとかなり背が高い方で、『リンダリンダリンダ』のバンドメンバーと並んだ様子について以下のように触れています。
実際の身長差以上に、ドゥナはかなり背が高く、そしてとてもデカく見えた。(中略)だが『ほえる犬』では下手をするとちっこくさえ見えたし、『子猫』でもさほど大きくは感じなかった。*3
まったく同感です。
衣裳による変化に加えて、背の高さまで視聴者の意識をコントロールできるのは共演者の体格の対比や制作者・製作者たちの技術もさることながら当人の並外れた演技力によるものだと思います。
図は、『リンダリンダリンダ』のスピンアウトとしてリリースされた劇中バンド「ザ・パーランマウム」のアルバム『we are PARANMAUM』のジャケ写です。
日本人メンバーも一般人と比べたら並外れて美しい人たちですが、ペ・ドゥナのプロポーションの見事さがわかります。頭ちっちゃ~~い。
*1: 『グエムル-漢江の怪物-』
*2: 『ほえる犬は噛まない』
*3: 『永遠のミスキャスト』(前掲『ユリイカ』)より
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