2011年3月28日月曜日

そのことに候

さて「高名の木登り」と言えば、高校の古文の授業で必ず習いますな。

たいていは、吉田兼好の書き出し「つれづれなるままにひぐらし…」ってところとペアになって教科書に載っている。

吉田兼好のエッセイですね。ブログやfacebookみたいなもんです。

この「木登り」さんは植木職人の頭(かしら)でして弟子に木の手入れをさせているんですな。筆者(吉田さん)は、その作業を見ている。
枝を剪定しているのですが、すごく高いところを世話しているときは声もかけないのに、低いところにとりかかったら、
「おいおい。気を付けて作業しろよ!」
と声をかけたと。

そのやりとりを見た吉田さんが「かしらぁ。もう飛び降りても大丈夫なくらいなところなのになんでわざわざ注意したの?」と聞いたら、頭のカッコいいこと。

「そのことにそうろう」(そのことでございます)※注
「うんと高いところは注意しなくても自分が怖いので慎重にします。低いところほど事故がおきやすいのですよ」と答えたと。

プロの答えはいつも「そのことにそうろう」といきたいものですよね。

逆に、この返答を聞いた吉田さんの感想が実に情けないなと、前から思ってまして。

「毬(けまり)もむずかしいところを蹴るときより、簡単に思えるとついとりこぼしてしまうものです」と。
自分の身の回りのことで喩えたのですが「けまり」くらいしか思いつかない。
所詮は、エリートのコメントなわけです。言っても詮無いことですが。


※注:文中で「そのことでございますね」と書いた方がわかりやすいと思いますが「そのことでございます」の方が一層、カッコいいでしょ?

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