2016年9月24日土曜日

君の名は。 ★★★★☆

『君の名は』は、ラジオドラマ化されたとき、オンエアの時間になると女風呂に客がいなくなるという伝説的すれちがい男女ドラマで「真知子巻き」というストールのファッションが大流行したという大ヒット作品ということだけくらいの知識でした。

『風立ちぬ』(堀辰雄)というタイトルでジブリのアニメが作られて。こんどは『君の名は』(菊田一夫)か~、というのもあり昭和の小説の名を借りた新作なんだろうなぁと流していました。

あたしは既報の通りカラオケのDAMチャンネルのヘビー視聴者ですからDAMチャンネルで繰り返し流れる『君の名は。』のプロモーションビデオを繰り返し見てます。
おそらく日本人でもっともこの映画のPVを見ている人間の一人かと思います。

ヘビー視聴者と言いましたが、ボリュームを消してハーモニカの練習をしているので見てはいますが音はめったに聞いていません。なのでヘビー視者が正確かも。

音のない映像で主役は現代の高校生みたいだから、やはりお話は「真知子巻き」ではなくて今の「すれちがい系」の純愛物語なのかなぁとぼーっと見ていました。

映画の音楽を担当しているRADWIMPSというグループのPVも同じくDAMチャンネルで繰り返し流れています。

Feedly(RSSニュースリーダー)に登録している「TAP the POP」という音楽評論サイトの9月2日の記事で「時を超えて、時を駆け上がって、希望を伝えてくれる『君の名は。』」という紹介がされまして。音楽の使い方についてとても好意的な記事が書かれてまして初めて興味を持ちました。(このサイト、いい記事が多いんですよ)

そしたらこんどは『シンゴジラ』と競合して大ヒットになっているアニメ映画だっていうじゃないですか。これは観ておくかなと遂に思いました。

ちなみに監督の新海誠という方の『言の葉の庭』という短編を見てたのですが今回の『君の名は。』の製作者だとは直前まで知りませんでした。『言の葉の庭』は知人から映像がすごく美しいという話を聞きまして見たところ、CGの美しすぎる部分とキャラクターの差異がちょっと気になるかなという印象を受けました。

今回は、その差異が目だたずに、両者が自然に溶け合っているなと感じました。
風景描写、水の描写などはこの監督のこだわりなのだなと思います。よかったです。
それと『言の葉の庭』でも感じたことで、ローアングルのショットが非常に多いです。
場面転換でも繰り返し使います。

PVの映像用に本編からピックアップされているものは「見どころ」に決まっているわけですが、「本編で教室で自分の悪口を言われているのを聞いた主役の女子高校生が腹を立てて机をけとばすシーン」、「同じ女子高校生がバスケでゴールをした後の正面のシーン」この二つが好きではありませんでした。
前者は、蹴った足元からミニスカートの太ももの付け根が映像で強調されています。後者はジャンプしたあとの正面からのショットで高校生の胸が揺れる映像です。

商業的には必要なのかもしれませんが、男性アニメファンに媚びるようなショットはどうにも好きになれません。(個人的な好みですのでお許しください)

幸いにもこのアニメではありませんが、主役の女子が猛烈に可愛いのに、男勝りの性格でおてんば、でもストーリー進行にしたがって実はとても(男の理想とするような)乙女ごころを持っているという性格付けも類型的で受けつけがたいです。

このタイプのキャラがはしゃいで好物(お菓子とか)をほおばって「きゃはは」っと甘ったれた声をだす場面も気持ち悪いです。(だから『あの花』10分しか耐えられなかったんだけど)
ま、これから女子と付き合いたい男性にとっての女性の理想像?なのかもですが女性像の掘り下げ方が浅すぎるように思えてしまうのです。
あたしはフェミニストではありませんが、でもついついそう感じちゃうんです。

というわけで映画見ると決めてから直前にはじめて音つきでPVを見たら、なんと!男女が入れ替わるっていうじゃないですか。上記のあたしが嫌いなサービスショットも男が中に入っているときのものだったのです。

映画鑑賞の結果は、ストーリーがあたしの趣味性にぴったりあっているのでとても気に入りました。
だって『リプレイ』⇒『君がいた未来のために』の系譜の話だからです。
好きなんですよ。そうそう、『僕だけがいない街』もそうでしたし、さらに古いところではロバート・ハインラインの『夏への扉』(山下達郎が歌にしたやつ)ですな。

ちなみに『君がいた未来のために』の主人公(堂本剛)が人生を繰り返すタイミングも『彗星群』の飛来でした。

女子高校生の一家は、夢見の技術に長けている呪術師の一族ですな。巫女(シャーマン)だし。そうした整合性は見事です。神社の本殿はもっと近くてよかったんじゃないかな。
監督は総武線沿線好きなんですね。

あたしの趣味にはぴったりで文句ないのですが、でも、なぜこの映画が格別に大ヒットするのか今もわかりません。
公開してだいぶたっているのに、シアターは結構カップルで賑わっていました。いつもはいついってもどの映画でも平日はガラガラなのに。(スターウォーズ、シンゴジラ比べ)

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