さて、そんな『小説浅草案内
』の中で一番気に入っている話です。
例のごとく主人公が、居酒屋で飲んでいるとカウンターで二人の青年が話しています。
父親は、若いころから遊びが好きで母親を困らせてばかり。
もう、いい歳なのに向島に住んでいる女性といい仲になって調子に乗っている。
そんな中、母親が悪い病気にかかっていることが判明。
それもこれもオレがだらしないかったからだ、と猛反省した父親、子供たちの説得も功を奏し、向島の彼女に別れ話をしにでかけます。
家は浅草界隈ですので、向島へ行くには橋を渡らねばなりません。
原作が手元にないので覚えていませんが、たぶん言問橋でしょう。以下もうろ覚えなので間違いご容赦。
おりしも季節は春。
隅田川の桜は満開です。
ところが、でけかようとしたら雨が降り出したので傘を手にします。
ここで目をつぶって、雨の中、散る桜。
初老の男性が傘をさしながら、とぼとぼと言問橋を渡っているところを思い浮かべてください。
意を決して、彼女に別れを告げた父親。泣く泣く承知した女性。
行きよりももっとうなだれて橋を渡ります。
・・・翌朝。父親は、濡れた傘を乾かすためにバサっと開きます。
するってぇと・・・。
続きは原作でお楽しみください。
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