●11 影の世界
クララもドン・ファンと同じく「逢魔が時」についてコメントします。
「この家では、大声で言うことには気を付けなきゃいけないの。特に黄昏時にはね!」
黄昏時は、「影のない時間」だそうです。(飛翔195)
ところで、マジカルパスを教える際、タイシャは、クララが”馬歩”という武術の態勢をとるのを見守った、とあります。(飛翔197)
クララは、空手やクンフーの使い手ですから”馬歩”の姿勢をとります。
(”マーブー”と読みます)
空手も”馬歩”という用語を使うのかどうかは知りませんが、これはある種の「スクワット」でして両足を広く開いて腰を低くする態勢のことで、読み方は「マーブー」と読みます。懐かしいです。
原文を見ていませんので、英語で実際に、”馬歩”をなんと言っているのかはわかりません。
●12 呪術師のマスター
タイシャは、ついにナワールと呼ばれているジョン・マイケル・エイブラー(ドン・ファン)と向き合います。
ドンファン曰く「知覚が拡張すると、実在するものは何もないし、架空のものも何もない。ただ知覚のみがある」(飛翔209)
色即是空空即是色ですか。
ドン・ファンがダブルについても解説します。
「我々は、そいつの外側にある硬い包装物だけにしか気づいておらん。意図をそいつに戻してやれば、我々は霊的側面に気づくようになる」(飛翔210)
以下、どうとでも取れる書きっぷりですが、ドン・ファンの容姿についての記述があるので一応引用しておきます。
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思っていたよりはずっと老けていたが、ずっとピンピンしていた。年齢不詳。四十歳、ないしは七十歳くらいだろうか。非常にガッチリしていて、痩せても太っても見えなかった。色は浅黒く、インディアンみたいだ。突き出た鼻に、しっかりした口元。えらが張っていて、黒い瞳がキラキラ輝いている。洞窟で見た時と同じように、精悍な顔つきをしていた。そして豊かでつややかな白髪の散切り頭が、これら一つ一つの造作を引き立てていた。(飛翔213)
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「会えてとても嬉しいよ、タイシャ」力強く握手をしながら、エイブラーさんが完璧な英語で言った。英語がうまいとほめると。
「それは光栄だな」と答えて
「しかしながら英語は上手くしゃべれて当然なんだ。私はヤキンディアンで、アリゾナで生まれた」
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カスタネダの著作ではドン・ファンとの対話はスペイン語でなされていたとなっています。デミルの著書では、植物学者のワッソンが英語での対話のようだと疑義を述べていることが書かれています。
前にも書きましたが、ドン・ファンが英語をしゃべるとなにが問題なのかわかりません。
そしてドン・ファンの素性についてはぼかしてあるので、実はアリゾナ生まれのウイチョル族の老人かもしれませんし、ドン・ヘナロと同じマザテック・インディアンだったかもしれないのです。(カスタネダの著作が文化人類学を毀損したかどうかという議論はわきにおいて)
ところで、Amy Wallaceによると、タイシャ・エイブラーは、後にドン・ファンには会ったことがないと告白しています。
要するに、この本は創作物ということになってしまいますが、めげずに紹介は続けます。
●13 呪術師の敵
この章では、クララの呪術の師匠、ナワール・フリアンのフルネーム?「ナワール・フリアン・グラウ」が明かされます。(飛翔232)
といっても「グラウ」をつけただけですが。
ドン・ファン・シリーズでは、別のフルネームで登場していたような気がしますが、今その箇所を見つけられないのでペンディングとさせてください。(pending)
そしてタイシャの先生は別の人間だと言われます。(飛翔236)
クララがのべる呪術師の定義がシンプルなので一応引用しておきます。
「鍛錬と不屈の努力によって、通常の近くの限界を破ることができる人をいう」(飛翔238)
クララは、この屋敷には、タイシャが会っていない人がまだ14人いるといいます。(飛翔239)
タイシャはクララとエイブラーの二人に会っていますので「2奇妙な約束」で屋敷には二世帯が暮らしていて左右各々8人ずつで16人が暮らしていっていましたので計算あってます。
呪術師には、二種類あるそうです。
古代メキシコに存在した伝統的呪術師のように現実的な呪術師は、自尊の念を増長させて、個人的な力と喜びを追及する。一方で抽象的な呪術師は、知覚能力を拡張し、自由を追求するそうで、(飛翔239)ドン・ファンたちは抽象的な呪術師だということですね。
この屋敷には他にマンフレッドという犬がいまして、この犬も古代の呪術師に属しているのだそうです。(飛翔245)
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