2010年12月12日日曜日

中野本町の家

『世界文化賞』というアート関連の賞に建築(デザイン)部門があります。

だれがノミネートしているのかは知りませんが、渋い線をついてくることがあります。
そんな中、2010年の建築部門の受賞者は(渋くはなかったですが)、伊東豊雄に決まったそうです。なるほど。
受賞記念の講演会が催されるというので誘われました。

しかし、もはや自分は、デザイン業界を離れて四半世紀となる身。
もはや最新のトレンドなど皆目わからない状態だし、いまさら建築の話もないだろう、ルーザーだし。
なぁんて思っていたのですが、どのような心境の変化なのかB型の能天気さなのか、万難を排して出席してしまいました。

ご本人の子供の頃の話から、芦原義信の「外部空間の設計」の話。日本建築家が起こしたムーブメント「メタボリズム」の思い出。菊竹事務所時代の話。

そして「中野本町の家」あたりでサイコーにノスタルジックな気分。胸の奥がキュンとね。
スライドを先に進めるときの「はい。次。」の声が、いかにも建築学科の先生らしかった。
昔は、コダックのカルーセルを使っていたよね。

先週末、実家を訪れまして。誰も使わなくなった二階の自分の部屋に上がりました。

どよ~んと黴臭い空気の中。書架には、昔読んでいた「新建築」(建築専門誌)のバックナンバーが少し残っていて、その場では開きませんでしたが、たぶん「住宅特集」には中野本町の家の写真が眠っていると思います。

ベッドの下には、図面をしまう引き出しがありまして、中には図面がそのままになっています。
いつか、この家を取り壊すときには、この図面もろとも消えいくわけだなぁなんて、いわば、朝顔の露にことならず。気分は鴨長明でした。

※追記2017年12月:その後、本当に取り壊しました。

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