小学生の時に、般若心経を暗記したことがあります。
特に理由はありませんが、「暗唱」の課題として適しているように思ったからで、書店で適当な新書の入門書を買ってきて、記憶しました。
お経の読み方を知っているわけでもないので、ただひたすら、本に書いてある文言(についているフリガナ)を覚えたものです。
文字数もそれほどでもないので、たちまち暗記はできたのですが、日常、自分がそれを唱える場面もありません。
一旦覚えたら、それで満足してしまったのか、いつのまにか暗唱のおさらいもしなくなりました。
ある日、「レインボーマン」というヒーローもの連続テレビ番組がはじまりました。
主人公は、レインボーマンに変身するとき般若心経の一節にある「阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)」と唱えるのです。渋すぎる。
「へんしん」と唱える仮面ライダーとは大違いで、その番組を見ていた子供たちは、いったいなんのことかと思っていたのでしょうが、馴染のあるフレーズだけに、なんと、ばかみたいな(ほめ言葉です)番組を作るのだろうと感心しました。
(ちなみに、レインボーマンの師匠はダイバダッタといって仏陀の弟子の一人(だったかな)の名前にちなんでいます)
「レインボーマン」の登場もむなしく、あたしの記憶の中の般若心経は実地で役にたつこともなく脳みその中で次第に薄れていき、最近では冒頭の数行以降については断片的にしかつながらなくなっていました。
せっかく覚えたのに、もったいないと思い出した今日この頃、以前は挑戦しなかった坊さんが本格的に読経する調子でそらんじてみようと一念発起、お経のCDを買いました。
「般若心経・続経教則~誰でも般若心経が唱えられる
」 (池口恵觀)
シングルCDの中に、全部で6つの曲(トラック)が収録されています。
1.池口師(この師でよいのだろうか?)の能書き
2.初心者向きゆっくりと二回繰り返し
3.能書き、その2
4.やや、速く二回繰り返し
5.能書き、その3
6.すごく速く7回繰り返し
CDと一緒に唱えてみると、さすがに、子供のころに覚えただけに、あっという間に記憶がよみがえり、4のやや速いトラックでも容易についていけて6番の超高速でも問題なく唱えることができるようになりました。
ちなみに「どこで唱えるか?」というと自宅では家人にいぶかしがられるので自家用車の中で運転しながら唱えます。不気味でしょ。
ときおり、このまま事故でも起こしたらそのまま成仏かなどと縁起でもない思いが脳裏をかすめますが、ま、おかまいなしに超高速のお経を唱えてみます。
この6番の超高速。とにかく早口。
これを聞いて思い出したことがあります。
七田式という暗唱を軸に能力開発をする「自己啓発?」法がありますが、これも、あらゆることを「超高速」で繰り返し暗唱するというテクニックを用いるのです。
うーむ。お経も「超高速」で読んで「悟り」にいたるのか。
しかし、このCDの「超高速お経」。
なんと、7回めの繰り返しのときに、池口師が「読み間違え」をします。
お経の冒頭、正しくは、
----------7回目
摩訶般若波羅蜜多心経
まかはんにゃはらみたしんぎょう
観自在菩薩
かんじざいぼさつ
行深般若波羅蜜多時
ぎょうじんはんにゃはらみったじ
照見五蘊皆空
しょうけんごうんかいくう
度一切苦厄
どいっさいくやく
(以下、続く)
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なのですが、
----------7回目
摩訶般若波羅蜜多心経
まかはんにゃはらみたしんぎょう
観自在菩薩
かんじざいぼさつ
行深般若波羅蜜多心経
★あわてて息継ぎでごまかし、以下から入りなおして何食わぬ顔(CDだから想像)で続ける★
色不異空 空不異色
しきふいくう くうふういしき
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上記の「何食わぬ顔して続ける」くだりでは、耳を澄ますと池口師の口調は、少し照れ笑いしているようにも聞こえます。
どうしたことでしょうか。
CD収録であがってしまったのか?
CDの製作者たちは、どうしてリテークしなかったのだろう?いくらなんでも不真面目すぎないか?
愉快なCDです。
(初出:2007年01月06日)
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