2018年5月6日日曜日

ノガレスの壁

カルロス・カスタネダは、ドン・ファンにノガレスのバス停で出会ったという話について以前、書きました。

●『ノガレスを訪ねて』(2016年8月13日)

あたしは、上記の記事にアリゾナ州(アメリカ)にもメキシコにも「ノガレス(Nogales)」という町があって、

----------
国境は人間が引いた線ですから。
万が一、ドナルド・トランプが大統領になったらここに物理的な壁ができて、「北ノガレス」、「南ノガレス」となってしまうのでしょうか?(2016年8月13日)
----------

なんて能天気なことを書いていました。「万が一」が起きちゃいましたね。

ドナルド・トランプは、大統領選の公約の一つに、違法移民の流入を食い止めるためにメキシコとの間に壁を建設すると宣言していましたし、当初はメキシコに建設費を負担させるとも言ってました。

その後、プロトタイプを視察する大統領というトピックでニュースになったりしていますが、上記のブログ投稿で、あたしのとんでもない無知を露呈していたことを「This American Life」で知りました。恥ずかしい。

”This American Life”の第641回「The Walls」のAct 2 「Keep the Wall Between Us As We Go」(2018年3月16日配信))

それによると、
----------
アメリカとメキシコの国境に建てられた最初の壁は、実は1918年に建てられたフェンスだ。
それは、二つの同じ名前の町、メキシコのノガレスとアリゾナのノガレスの間に建てられたフェンスだ。

以来、アメリカはもっとフェンスを大きくて、分厚い、錆色に塗られた物にした。

そして毎日、ノガレスの国境ではアメリカ合衆国国土安全保障省(Homeland Security)の白いバスが違法移民を満載してメキシコに送り返している。

彼らの多くは、アメリカに残してきた子供たちの親だ。彼らは、メキシコ側の国境近くに住み始める。
----------

現行のアメリカのルールでは、違法移民の子でもアメリカで生まれた子供はそのまま米国民になれるので親だけが「違法」とみなされ子供たちと引き離されるのだそうです。

逆にこのルールを悪用(?)して、アメリカで出産して米国籍を取得させるアジア系外国人を対象にした「移民ビジネス」が米国内では問題になってもいるそうです。
アジア人たちの場合は、「違法」ではなくて米国民になった子供を「基盤」にそこから親や親類がグリーンカードを取得していく計画を進めるのでこうした子供たちは「Anchor baby (錨ベイビー)」と呼ばれています。

中南米からの違法移民(Undocumented (Illegal) Immigrant)たちはアジア系外国人のように狡猾な裏技を駆使したりする経済的余裕もないので違法滞在がバレたところで上記のバスでメキシコに送り返されています。

「This American Life」のこの「The Walls」の回では、このように引き離された家族がどのような暮らしをしているのかLizzie Presserというレポーターが伝えてくれます。

国同士、とりわけ大国・強国の政治・経済的思惑や取引で勝手に設定された国境で分断された数多くの場所や人工的に作られた国や民族が現在の混沌とした世界情勢の原因となっていることを考えますとなんともやるせない気持ちになります。

ノガレスの壁をレポートしていただいているブログを見つけましたので、リンクを設けておきます。ビジュアルのインパクトはすごいですね。

「びしっ!とキレイに分かれているアメリカ・メキシコ国境の写真25枚」



0 件のコメント: