2006年5月20日土曜日

コンピュータ黎明期(6) ~ 熱海屋の日々 ~

導入指導が行われる研修所が茅ヶ崎にあることに目を付けたコンピュータ部門の智恵者たちは、交通費計算など経費面で効率を雇い主にうったえ、なんと会社の熱海保養所に連泊する手筈を整えてくれたのです。
こうなったら海の幸の日々です。

熱海で一番旨いものを出す飲み屋はどこかと地元で聞いたら「熱海屋」という小料理屋だと誰もが口を揃えていいます。小さな居酒屋でカウンターと小上がりがありまして、二階に座敷があるのでそこで小宴会くらいは可能でした。

元々、良い物を食べたことがないせいか、熱海屋の日々は、魚がこんなに旨いものとは知らなかったというまさに極楽でした。
しかも、当然のことですが毎日が温泉です。

研修の方はゆっくり起きて東海道線で茅ヶ崎に。みっちりとコンピュータというものを習いますが、小難しいのなんのって。なにしろOSの「存在」すら知らない身だったのです。
中でもリレーショナル・データベースの講義を延々とやられた時は参りました。
CADでデザインするだけなのになんで、データベースなのだろう? たぶん、InterGraph製品におまけでついている機能なので、説明しなけ ればいけないことになっているのでしょう。
その後、あたしは3DCAD職人に変身するわけですが、最後の最後までデータベースを使うことはありませんでした。

熱海の夢のような日々が終わり、いよいよのコンピュータ漬けの日々が始まりました。
InterGraphのおかげで身に付いたコンピュータの「現場感覚」。そしてわかったことは、実践の場数を踏まない限り覚えることがないということした。
これに限らず、「現場」ですな。

その時代々々で、コンピュータの能力は異なり、あっと言う間に記憶量はじめパワーや機能がアップしますが、その時点では与えられたものを使ってなんとかしようと工夫をします。

たとえば、グラフィックに「グラデーション」を描く能力がなければ巨大な円筒に光を当てて疑似的に現したり(きわめて効率が悪いですが)といった「問題解決」 を重ねて行きます。デザインの現場からくる相談事をつぎつぎとこなしていく内にデザインそのものよりも問題解決の方が楽しくなってきました。

しまいには建築CADでは表現しずらい曲面に挑戦するようになってきました。曲面はすごい数のポリゴンを使うのでマシンパワーを必要とします。一大プロジェクトを 仕込んでは夜中の間、マシンを走らせておき、翌朝結果を見ると・・・画像が壊れていたりしました。
こんな失敗も含めた試行錯誤がまた楽しいのです。

そのころ、自分は知りませんでしたが学生時代の友人達が次々とコンピュータ業界に参入していたのです。

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