2006年5月21日日曜日

コンピュータ黎明期(7) ~ 外部コマンドに挑戦 ~

あたしが長い学生生活を選択した時、同窓の多くはフリーの選択をしました。

あたしから見れば勇気ある決定なのですが、彼らから言わせると、就職先に困っただけで成り行きだそうです。
言われてみれば、あたしが彼らの共同事務所を訪れると時にネクタイを締めた仲間が「これから面接だ。」と出かけていくことがあったので、たしかに勤め人になるつもりはあったのかもしれません。

彼らは一様に出版業界で飯を食っていて絵や文筆で、それなりに名前が売れるようになっていました。
あたしがCADに夢中になりはじめた頃、連中の一部がCG関係の仕事に関わり始めていることを知りました。自分もコンピュータに多少詳しくなったこともあ り、一時、疎遠になっていた人々と情報交換をしてみるとCGはまだいいほう(?)で、中には家庭用ゲームの作家として活躍している人も出ているということでした。

当時、家人は彼女が勤めている会社の同僚仲間でゲームが大流行しているというので、しばしばあたしにファミコンを買おうよ、と持ちかけていたのですが、あたしは興味がなかったので乗りませんでした。
なので、ゲーム作家?になったという先輩が作ったゲームの名前を仲間があたしに「ね?すごいでしょ?」(という表情で)言っても、あたしが、きょとんという反応だったので会話がつづかなかったことを覚えています。

しばらくすると、そのゲーム「ドラゴンクエスト」のことがニュースになったり、先輩を追うドキュメンタリーが放送されたりしたので、これはすごいことになったと思ったものです。
そして、どうして皆が皆、コンピュータに関係のある分野に転向しているのだろう?、と、とても不思議に思いました。

そんなある日、あたしの元に「楕円形」を使ったデザインワークの依頼がありました。
今でこそ楕円など別にどうということはないのですが、あたしのInterGraphには、指定サイズで楕円を作る機能がありませんでした。
正確な楕円を作るにはどうしたらよいだろう?とコンピュータ部門の人々やInterGraphのサポートスタッフに尋ねてみたところ「外部コマンド」を使えばできるといわれました。
「外部コマンド」?はて?、茅ヶ崎のセミナーで名前を聞いた覚えがあるのですが詳細はなにも思い出せません。

要するに、楕円計算する単体のプログラムを作って、その結果をグラフィック出力させるような仕組みがあるのだそうです。楕円の軌跡の座標を3D画面の適当な平面に描けばよい、「だけ」なのですが理屈はわかっても具体的にどうやるのかさっぱりわからない。

この外部コマンド。Fortranで作るのだそうで、(楕円の計算式そのものは、中学か高校で習う公式なので別にどうってことありません)InterGraphに入っているコンパイラで外部コマンド形式でコンパイルして実行する・・・のだそうです。

このような、コンパイルという方法も、オブジェクト・ファイル、実行イメージという言葉も何もわからず無手勝流で仕事を進めました。
そして、想定どおりプログラムが動いて三次元の空間にスっと楕円が出来たときのよろこびは、たとえようがありません。

その頃、三次元のオペレーターとしては自分で言うのもなんだがかなりの腕前になっていました。
脳裏に三次元の座標が自動的に浮かぶのです。何事も慣れですな。

しかし、それではアプリケーションユーザーにとどまっていたわけで、この楕円の外部コマンド(ExCommand)を動かす過程でコンピュータの本当のおもしろさを知ることになったのです。

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