2006年5月16日火曜日

コンピュータ黎明期(3) ~悪筆とワープロ~

実は手書きが苦手だった(おかげ?)のもワープロ打ちが得意になった理由のひとつです。

ワープロ講習会が開催される約2年前、東京に久々に雪がふった日、書類のバインダーを小脇に抱え上野の建設現場で「桟橋」を歩いていたときのことです。

桟橋というのは、木の板をななめに渡したシンプルな構造で、一応根太(ねだ)状のすべり止めの角材が横に渡されています。(本当の根太そのものは足場のパイプを使用。)

ですが、いったん雪でぬるっとなった板は雨のマンホールぐらい滑りやすくなっていて安全靴のゴム底もなんのその、ファイルを抱えたまま、すってんと転んでしまいました。

右手に走る激痛。

軍手をしているので手をみても、外傷は生じていません。
飯場(本当は現場事務所という。)に戻って軍手をおそるおそる脱いでみると右手の小指がイナズマの形状に!
根が腰抜けなので血の気がさ~っと引きました。

一番近いのが安達祐美が生まれたとテレビでいっていた永寿総合病院。
ここで素人がみてもわかる骨折という診断をうけ、治療に通いましたがリハビリが不真面目だったせいか自由に動かなくなってしまいました。

それからというもの、手書き文字がすらすらと書けなくなりました。(家人などは、悪筆は元からではないかと指摘しますが・・・。)
鉛筆やペンが以前のように持てなくなってしまったのです。

故障の無いときには気がつきませんでしたが、文字を書く際、人は小指を酷使しています。
てこのように小指の側面を軸にしてすらすらと縦横に筆記具を扱っています。
いったん自信がなくなるともうだめで、後の転職時の筆記試験などでは小指の痛みをこらえて作文を書いたため痛みに冷や汗が出ました。それにしてもあの悪筆でよく受かったものです。

そんなわけでワープロをあてがわれ、けたたましいドットインパクトプリンタから綺麗な文字が出てきたとき、自分の救い主が来たと思いました。

職場では、英文の手紙のほかに「バラ打ち」といって企画書を仕上げる際、写植の変わりの文字を作るためにワープロは大活躍。地味な職場のささやかなデジタル革命がはじまりました。


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