2016年6月29日水曜日

納棺の儀

ほんとに辛気臭い話題しかないですな。
つい最近、母に次いで超高齢の叔母が亡くなりました。

追記)上記の書きっぷりだと、まるで母が亡くなったみたいに読めますね。
年齢が母に次いで高齢だという日本語です。(実は、この追記の時点(2017年)では、母が亡くなっています。あ~ややこしい)

ただでさえ数少ない親戚で唯一定期的にコンタクトがある家族のキーパースンだった叔母は数年前脳梗塞を患って入院していました。

ま、コンタクトっていっても暮れと正月ぐらいですが。

叔母の子供(イトコ)の子供(ハトコ)が連絡をくれまして通夜と告別式に出ました。
でも、なぜか通夜の日は、「納棺の儀」ってのがあるので少し早めに来てほしいとのこと。

ふ~ん、ご遺体をお棺に収めるのに立ち会うのかな?~ちょっとイヤだな。

でもいきましたよ。数少ない親戚ですから。
出向きましたら、そこには叔母の子供(イトコ)とその子供(ハトコ、といったって大の中年です)。
あたしも入れて都合三人。(イトコの旦那はとうにいません)

係りの人に少し待たされた後、いよいよ納棺の儀を執り行うってので宴会でもやれそうなでかい和室に案内されました。

なんと!そこには金属製の箱に横たわる叔母の遺体が。
金属製のお棺なんてあるのだろうか?

お棺の横には男性が一人と女性が二名。恭しく構えています。

「では、これより納棺の儀を執り行います。まず、これから行いますのは湯かんといいましてとてもとても大事な儀式です」

ゆ!ゆかん!・・・するとこの金属の箱は・・・湯船かっ!!!
みれば女たちはめいめい一つずつシャワーヘッドを握りしめているではないですか?

一人は遺体の腰のあたり。もう一人は頭の上。つまりバスタブの短辺方向にいます。

「では、これからご遺体を清めてまいります。」

いきなり、和室空間にふさわしくないジャーと響き渡るシャワーの音。

「今からシャンプーをおかけします。よろしければみなさまどうぞ」

え”~~~!!!

しかし、何事もなかったかのように、かの身内。イトコはしずしずと頭の側に進み泡立った頭部に手を添えます。次にイトコの子供。同じく、おごそかに。

三人しかいません。あたしの番です。

この状況は未開のジャングルで最高のご馳走ですと紹介されたイモムシの料理を断れない探検家の心境です。

意を決して死体の頭に手を添えました。 ヒンヤリとしていました。そりゃ死体ですもの。
その手の感触はいまでも覚えてますよ。

シャンプーの手を動かしながら、がまんできずにスタッフにいいました。

「あたしの父親の時は、こんなイベントなかったですが・・・」(シャンプーしています)
「はい。私共の特別メニューでございます」

(あたし:冷たい頭部を支えながら、そこにいるイトコたちを見つめて)
あたしの時は、やらないでいいからね
一同の乾いた笑いが和室におきましたが、あたしの精一杯の嫌味でした。 

ご遺体のこのような処理を仕事とされている方がたには叱られてしまいますが、餅は餅屋というじゃないですか。
ギャラをくれるならともかくこっちが払ってるわけでしょ。なにも素人のあたしに叔母の死体のシャンプーさせなくても。
親ならまだしもって親でもイヤですよ。生きてる親ならいざしらず。

この後、本当の木製のお棺に実際に納棺するため遺体を移動してさらに死に装束のしつらえまでやらされましたが、シャンプーに比べたらお安い御用です。

この儀式が終わってから呆然としているあたしにイトコの子供がぽつりともらしました。

「つかおじさん(あたしのこと)。すいません。知らなかったんです。祖母が生前積み立てていたらしくて金額に含まれていたみたいなんです。」

後で葬儀社のメニューを調べたら、この儀式のオプション費用、15万円でした。

翌日の告別式では最後に参列者が花を添えますが、あたしは前日、いやというお別れしたので故人には申し訳ないですが見るのもいやになってました。

そして数日後、イトコの子供からお礼の電話がかかってきました。

来た・・・・。

四十九日にも来てほしいとのこと。どうかスペシャルイベントがありませんように。




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